キジバトとドバトの違い

キジバトとドバトは見た目が似ているため混同されやすい都市身近な鳥です。しかし、実は分類や生態、鳴き声など様々な違いがあります。本記事では「キジバト ドバト 違い」という視点から両者の特徴を徹底比較します。見た目や行動、生息地、鳴き声、さらには人との関わり方まで解説し、写真なしでもわかりやすい識別ポイントをお伝えします。

キジバトとドバトの違い

キジバトとドバトはどちらもハト科の鳥で、一般に「鳩(ハト)」と呼ばれることがあります。しかし、分類学的には異なるグループに属しています。さらに、日本では呼び名や生息地、行動に違いが見られ、見分け方も異なります。

ここではまず キジバトとドバトの分類や名前の由来を含め、一般的な特徴と両者が混同されやすい理由を紹介します。

分類学上の違い

キジバト(学名:*Streptopelia orientalis*)はキジバト属(ストレプトペリア属)に分類される鳥です。一方、ドバト(学名:*Columba livia domestica*)はドバト属(コルンバ属)に属し、野生のロックバト(岩ハト)を祖先にもつ家鳩の一種です。言い換えれば、キジバトは野生のトウゾクバトの仲間であり、ドバトはもともと飼い鳩が野外で繁殖したものです。

分類学的には異なるものの、両者ともハト科に属するため、体型や行動に共通点は多くあります。どちらも地上で餌をついばむ習性をもち、人の近くで見られる点なども混同の要因です。

名前の由来と意味

「キジバト」の名は、漢字で書くと「雉鳩(きじばと)」です。雉(キジ)に似た風合いの羽模様をもつことから名づけられたとされ、美しい斑(まだら)模様の羽毛が特徴です。日本固有の呼び名で、英語では「Oriental turtle dove(東方の亜種)」などと呼ばれます。

一方、「ドバト」は一般的に「鴿(はと)」と同義ですが、都市部でよく見られる家鳩を指します。日常会話では単に「鳩」と呼ばれることも多く、正式には野生の「岩鳩(ロックバト)」から派生したものです。カタカナ表記の「ドバト」は、特定の学名よりも一般名として使われることが多い言葉です。

混同される主な理由

キジバトとドバトは、どちらも地上で採餌し、民家近くや公園、田畑などで見られるため、一般には区別されにくい鳥です。体長も両者とも約30cm前後でほぼ同じサイズです。また共に首を振りながら歩く姿や群れで行動する様子から「鳩」と認識されてしまいます。

しかし、よく観察すると羽の色や首の模様、鳴き声などに違いがあります。これらを知っていれば、両者を正しく見分ける手掛かりになります。

キジバトの特徴と生態

「キジバト」は平地から山地の広葉樹林や農村部、公園などにいる野生のハトです。特徴的な模様と鳴き声をもち、日本全国で見られます。ここではキジバトの主な外見や習性、鳴き声について紹介します。

外見や体格

キジバトの体色は全体的に茶褐色で、背中から肩羽にかけて黒と白がまだらに入る独特の模様があります。体格はスマートで、尾羽は先端にかけて細く登り三角形になる形状をしています。全長は約30~33cmほどで、国内でよく見られる鳩と同じくらいの大きさです。

目の周りにも特徴があり、暗いオリーブ色の虹彩に薄黄色のアイリング(虹彩周りのリング)が見られます。また、ドバトには見られない首飾りのような白黒のリング状模様が特徴的で、これはキジバト特有の外見ポイントです。

羽毛の色と模様

名前の由来にもなったキジバトの羽毛は、羽先に黒い斑点が入った茶褐色系で、全体的に落ち着いた色合いです。背中から肩の羽は黒と白のしま模様が規則正しく入り、光の角度で幾何学的なパターンが際立ちます。この模様が名前の「キジ」を連想させます。

また、翼には赤褐色の羽が混じり、尾羽の外縁は白く縁取られています。飛翔時には尾羽を開いて地肌より明るい白色部を見せるため、飛んでいる様子は比較的目立ちます。

生息環境と行動

キジバトは森林や田畑の周辺を好み、都市よりも郊外や里山、農地帯で普通に見られます。都市部でも公園や学校の敷地内など、人影によらない緑地には現れます。地面に落ちた種子や果実をついばむことが多く、朝や夕方になると道路沿いや田んぼで群れをつくっていることがあります。

警戒心はドバトほど強くはなく、人を見ても比較的その場で落ち着いている傾向があります。ただし飛び立つときは円弧を描く弾道飛行をし、翼を強く羽ばたいて音が聞こえるほどです。縄張り意識は弱めで、4~5羽程度の小群で過ごすほか、越冬期には数十羽の群れをつくることもあります。

鳴き声

キジバトの鳴き声は「クックー、クックー」という響きの連続音が特徴的です。ゆっくりとしたトーンで長く続けるのが一般的で、響きが深いことから他の鳥より遠くまで聞こえます。縄張りを示すときや求愛時に鳴き、複数羽が「クッククックー」と応じ合うように鳴き合うこともあります。

また、単発で静かな鳴き声「コー、コー」というような低い返事音を出すことがあり、慣れると比較的近くでこの鳴き声を聴くことができます。

ドバトの特徴と生態

ドバト(家鳩・野生化したニワトリ科の鳩)は、都市部を中心に人間環境に密着して暮らしています。都市の公園や駅前、繁華街の広場など、ありとあらゆる人の周りで見られ、雑食性で非常に順応性の高い鳥です。ここではドバトの外見や生態についてまとめます。

外見や体格

ドバトの体色は灰色や白、黒など個体差が大きいですが、最も典型的な灰色系の個体は翼に濃い青みを帯びた灰色と、黒い2本の縞模様が入っています。頭部と胸はともに薄いグレーで、頸部には緑色や紫色の光沢がかった羽が混じる個体が一般的です。尾羽の先端は黒く、端に白い線が入ることがあります。

キジバトに比べると体はずんぐりしていて、丸みを帯びたイメージがあります。全長は約32~33cmとキジバトよりわずかに大きい傾向です。目の色は赤いものが多く、目の周りのアイリングはスペインなどでは赤オレンジ色のものが多いと言われています。また、キジバトにあるような白黒の襟巻き模様はドバトには発達していません。

羽毛の色と模様

ドバトにはさまざまな色彩変異がありますが、一般に雌雄問わず灰色に黒縞という柄が多いです。中には全身真っ白や茶色の個体もおり、遺伝的に多様性があります。翼には先述の2本の黒いバンドが特徴で、飛翔時にその模様が目立ちます。

鳥肌的に際立つ模様がないことが多く、地味でシンプルな色合いです。本来は岩場に適応した色合いでしたが、都市環境ではそのまま残っているため人の目にはなじみ深い姿です。

生息環境と行動

ドバトは都市部はもちろん、港や神社、農村など人の生活環境ならほぼどこでも見られます。特にビルの窓台や屋根裏、橋脚などの人工構造物を巣場にすることが多く、断崖があまりない街中でもコロニーを形成します。歩道や広場でパン屑をついばむ姿はよく知られ、餌付けされることで人に近づく習性が強くなっています。

天敵に対して学習効果が高く、人の行動を観察して安全を判断することもあります。繁殖は通年可能で、一年に数回産卵することがあります。人がいる環境で常に餌を得られるため、キジバトより密度が高く群れも大きくなりやすいです。

鳴き声

ドバトの鳴き声は「クックー」や「クルックー」という短く区切った音節で鳴くことが多いです。キジバトのように伸びやかではなく、途切れ途切れに鳴くパターンです。また、威嚇や求愛で低く「カッ、カッ」という警戒音も発することがあります。

群れで一斉に寄って餌をついばむ場面では、周囲が一斉にコロコロコロ…という短い振動音のようににぎやかになることもあり、こうした音もドバトの特徴です。

見た目で見分けるポイント

キジバトとドバトを確実に見分けるには、その外見上の特徴を比較するのが最も有効です。以下のような点に注目すると、両者を識別しやすくなります。

特徴 キジバト ドバト
羽の色 茶褐色系、背中に白黒しま模様 灰色が基本、黒い翼縞がある
首周り 白黒の襟巻き模様 目立った模様なし
体型 細身でスマート ずんぐり丸みがある
尾羽 先が細長く白い縁取り 先端は黒く、場合により白線あり
鳴き声 「クックー…」と長く伸ばす 「クックー」「クルックー」と途切れる

サイズと体形

サイズはほぼ同じですが、キジバトは細身で尾がすっきりしており飛行時に美しく開く形が目立ちます。ドバトは全体に丸みがあり首元が太めで、地面を歩くときもぽってりとした印象です。並んでいるとキジバトの方が胴が長くスマートに見えます。

色彩と模様の違い

キジバトは全体に茶系の羽色で、体の側面から背中にかけて白黒の縞模様が入ります。このしま模様があるかどうかが最大のポイントです。反対にドバトは体が灰色系で、黒い翼帯2本が特徴です。頭と胸部の色合いは比較的単色ですが、羽がくすんだ無地である点でキジバトと見分けられます。

首回りや頭部の特徴

キジバトは首の横に白黒の飾り羽(襟巻き)があり、遠くからでも首元のコントラストで気付きやすいです。ドバトにはこうした明確な模様がなく、首周りは灰色または光沢のある緑紫色に見えるだけです。また、キジバトの目は暗めの虹彩の周りに黄色い輪が見えることがありますが、ドバトの目は赤味がかった色で、黒い斑がないか対照的です。

その他の見分け方

飛んでいる姿でも区別できます。キジバトは羽ばたきがゆったりで尾の白い縁取りが目立ちますが、ドバトは小刻みに羽ばたくことが多く、飛翔中の尾羽は黒く見えます。また、キジバトは林縁や樹上にも現れるのに対し、ドバトは都市環境での行動が得意です。そのため、森の中や田畑の縁で見かければキジバトの可能性が高く、駅前やビルの隙間にいればドバトと考えられます。

鳴き声と行動の違い

鳴き声や行動にも両者の違いがあります。鳴き声は識別の大きな手がかりとなり、ドバトとキジバトは音の出し方や雰囲気が異なります。また、人への反応や飛び方にも特徴があるため、これらの違いを知っておくと確実に見分けられます。

鳴き声の特徴

先述したように、キジバトはゆったりと伸ばす「クックー」という鳴き声が特徴です。複数羽が鳴くと連なって波打つような音になります。一方、ドバトは比較的短く区切りのある「クックー、クルックー」という鳴き方が多いです。警戒時には「カッカッ」という雑音のような音を出すこともあります。

例えば、静かな森林で美しい鳴き声を聞いたらキジバトである可能性が高く、大通りや公園で短く連続する鳴き声ならドバトである場合が多いです。

飛び方と動作

キジバトの飛び方は力強く一振り一振りがゆったりで、翅音が比較的低く重厚に聞こえます。尾羽を広げた美しい三角形を横に広げて飛ぶ姿が特徴です。飼い慣らされていないため、飛ぶときは一直線に移動することが多いです。

ドバトは連続的にバタバタと羽ばたきながら、じわじわと飛ぶ印象です。羽ばたき音は高いピッチで「ビュンビュン」と響き、方向転換も機敏です。都市環境に慣れているため、人の気配には敏感になりがちで、人が歩くと団体で飛び立つ習性があります。

人への接し方

キジバトは人間に対する警戒心が比較的低く、公園などで人の近くに落ちている餌をついばむことがありますが、繁華街ビルのすぐ間近で見ることは少ないです。一方、ドバトは人混みでもマイペースで歩き回るため、至近距離でも観察されます。また、好奇心から人手に餌をもらいにくることもあります。

生息環境と食性の違い

生息地や食べ物にも両者の違いが見られます。キジバトは自然に近い環境で野生の種子などを好んで食べ、ドバトは人間の作り出す環境で雑食的に餌を摂ります。移動や群れの規模にも差があります。

主な生息地

キジバトは林縁や竹藪も含む里山、農地、公園、河川敷といった自然や半自然の場所を好みます。渡り鳥ではないため、季節による長距離移動はせず、冬も同じ地域で越冬することが多いです。一方、ドバトは繁華街や港湾、近代建築物の多い都市部を中心に生息し、人工物が巣をつくる足場になります。

郊外でも民家や神社の屋根裏、蔵や倉庫の隙間などに巣を作ります。移動は少なく、越冬・春秋の渡りはしないものの、都市内で長距離移動することはほとんどありません。

食べ物・餌

キジバトの食性は主に植物の種子や果実です。田んぼの稲穂やクルミ、木の実、野菜の種など様々な種子類を地面でついばみます。一方、ドバトは雑食性が強く、種子だけでなくパンくずや食品くずなど人由来の食べ物も平気で食べます。公園の落ち葉の中に混じる昆虫をついばむこともあり、食の幅は広いです。

ドバトは人が毎日エサを与える環境に適応しているため、餌の少ない冬でも安定して繁殖できる傾向があります。

移動・渡り

キジバトは一般に留鳥(一年を通じて同じ地域に留まる)です。日本国内では南部の個体群はほとんど移動せず、北部の個体群が冬に南下する場合がありますが、大規模な渡りは行いません。集団で短い距離を移動しながら行動範囲を広げる程度です。

ドバトは元来渡りをしない種で、人間環境に馴染んでいるため移動の必要がなく、地域内で生息を続けます。集団の規模はキジバトよりも大きくなることが多く、都市公園などで数十羽のコロニーを形成することがあります。

人との関係と保護の違い

キジバトとドバトは人間との関わり方に大きな差があります。ドバトは都市由来の鳥として餌付けされ、人目につきやすい一方、キジバトはより野生に近い存在です。これに伴い、害鳥扱いになりやすいか野生動物保護の対象となるかも異なります。

街中での生息と扱い

ドバトは公共施設や商業施設など街の中でも見かける鳥です。鳩被害対策用のネットや鳩よけシートで駆除されることもあり、害鳥と見なされがちです。一方、キジバトは街中の本当の人混みではあまり見かけず、公園や郊外の静かな場所での存在感が強いです。

また、ドバトはペットや伝書鳩の歴史もあり、人が飼うための図柄として扱われることもありますが、野生化した場合は一般的に法律で駆除対象ではなく民間での対策の対象になることが多いです。

農作物への影響

キジバトは野菜や果樹園への食害が問題になることもありますが、一方で北部では狩猟対象とされ、食材として捕獲が認められる地域もあります。ドバトは人家周りでの雑食が多く、農作物に群がることは比較的少ないです。鳩害という場合はむしろドバトが街路樹や家の軒先で糞被害を起こす傾向があります。

保護・法律上の位置づけ

法的な扱いでも違いがあります。日本ではキジバトは鳥獣保護法の保護対象になっています。そのため狩猟期間が限られており、狩猟免許を持った人だけが定められた期間に捕獲できます。一方、ドバトは野生化した家禽のため同法では規定がなく、保護対象にはなりません。

その結果、キジバトは天然記念物に指定されていない一般の野鳥と同様に扱われますが、ドバトは“放し飼い”の家畜の延長と見なされ、扱いが大きく異なります。

まとめ

キジバトとドバトは見た目では似た点が多いものの、分類学的には別の種であり、生態や行動にも多くの違いがあります。キジバトは茶褐色で襟巻き模様があり森林や田畑に多く、落ち着いた長い鳴き声を出す野生のハトです。ドバトは灰色系で翼に黒縞があり都市に適応、短い鳴き声で群れを作る家鳩系の鳥です。

このように羽色、模様、鳴き声、生息地、保護の扱いなどを比較すると、それぞれ独特の特徴が見えてきます。身近な鳩を観察する際はこれらのポイントに注目してみましょう。同じ「鳩」でも違いを知れば、野鳥観察や生物学の理解がさらに深まります。

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