茨城県の野鳥観察ガイド:人気スポットと季節別見どころ

茨城県は霞ヶ浦や筑波山など多彩な自然に恵まれ、2025年までに約280種もの野鳥が記録されています。
豊かな湖沼から山林、河川、海岸に至るまで多様な生息環境があり、バードウォッチングに適したスポットが県内各地に点在しています。
本記事では茨城県で観察できる代表的な野鳥やおすすめ観察スポットを詳しく紹介します。季節ごとの見どころや観察時のマナーも解説し、初心者からベテランまで役立つ情報をお届けします。

茨城県で野鳥観察を楽しもう

茨城県はバードウォッチングに適した環境が豊富で、野鳥愛好者の間で注目されています。
例えば、日本野鳥の会茨城県支部が主催する探鳥会が定期的に各地で開催されており、初心者でも気軽に参加できます。

県内には霞ヶ浦・北浦などの大きな湖沼をはじめ、利根川や涸沼・水田地帯、筑波山・奥久慈の山間部、さらには約170キロメートルに及ぶ長い海岸線といった多様な生息環境が揃っています。
これらのスポットでは季節ごとに特色ある野鳥観察が楽しめます。

観察に最適な時間帯とシーズン

野鳥は早朝と夕方に活動が活発になるため、観察には日の出直後や日没前が狙い目です。
茨城県では3月~5月の春と、9月~11月の秋が渡り鳥の飛来で特ににぎわいます。

観察に必要な装備と服装

野鳥観察には双眼鏡が必須です。望遠レンズ付きのカメラがあればより詳細に観察できます。湿地や草地では足元がぬかるむことがあるため、トレッキングシューズや長靴を用意しましょう。
また、虫刺され対策として虫よけスプレーや長袖・長ズボン、帽子も忘れずに。服装は自然に溶け込むベージュやカーキなどの落ち着いた色を選ぶと、野鳥に警戒されにくくなります。

初心者向けのバードウォッチング入門

初心者はまず見晴らしの良い公園や整備された湖岸から始めましょう。例えば霞ヶ浦総合公園や水戸の千波湖などは身近に多くの野鳥が観察できる人気スポットです。
野鳥図鑑やスマホアプリを利用して、見つけた鳥の種類を確認しながら進めると学習効果も上がります。

茨城県で見られる野鳥の種類と特徴

茨城県では湖沼や河川に姿を現す水鳥から森林・里山に棲む小鳥まで、多様な野鳥が観察できます。
例えば水辺ではカルガモ、コガモ、オナガガモなどのカモ類や、アオサギ、ダイサギがよく見られ、夏にはカワウや各種のサギも増えます。

一方、山林や里山ではウグイス、シジュウカラ、ヤマガラなどの小鳥が繁殖し、ベニマシコやホオジロ類も見られます。田園地帯ではセッカやヒバリ、ホオジロ類が多く見られ、深い森にはコゲラやアカゲラなどのキツツキ類も生息しています。

水辺に棲む野鳥

水辺では冬季に多く飛来するカモ類(カルガモ、マガモ、コガモ、ホシハジロ、スズガモなど)が見られます。
ダイサギやアオサギなどのサギ類、カワセミ、カワウも生息し、夏にはカイツブリやハジロカイツブリが繁殖します。

森林・里山の野鳥

山林や里山ではウグイス、シジュウカラ、ヤマガラなどの小鳥が繁殖し、ベニマシコやホオジロ類も見られます。
また、頭上を軽快に飛ぶコゲラやアカゲラなどのキツツキ類や、渓流沿いで生息するヤマセミも注目されます。

環境別の渡り鳥や珍鳥

春秋の渡りの時期にはシギ・チドリ類(タシギ、セイタカシギ、ソリハシシギなど)が田園や湿地に渡来します。
また沿岸部では冬季にウミウやウミアイサ、ユリカモメの群れが見られ、近年ではカオジロヒヨドリやアメリカムシクイなどの珍鳥報告もあります。

猛禽類(タカ・ワシなど)

茨城ではノスリやオオタカなどのタカ類、ハヤブサ科の猛禽が観察されます。冬には涸沼などでオオワシやチュウヒが飛来することもあります。
これらの猛禽類は広い餌場や安全なねぐらを求めて県内各地で見られます。

茨城県のおすすめ野鳥観察スポット

茨城県には地域ごとに特色のある野鳥観察スポットが点在しています。
そこで、代表的な観察地をエリア別に紹介します。

霞ヶ浦・北浦エリア

霞ヶ浦は日本で2番目に大きい湖で、冬季にはオオハクチョウやオナガガモの大群が飛来します。
また湖岸やヨシ原ではカワセミやオオヨシキリが見られ、冬にはホオジロガモやホオジロカモメも飛来します。北浦でもカンムリカイツブリやユリカモメが多く集まり、春秋にはシギ・チドリ類の群れが通過します。

涸沼と周辺

涸沼は淡水と汽水が混じる湖で、2015年にラムサール条約湿地に登録されました。冬季にはスズガモやオオセッカなど約60種近くもの野鳥が越冬に訪れ、県内屈指の観察地です。
周辺の田畑やヨシ原ではタシギやレンカクの越冬例も報告されています。

筑波山・奥久慈エリア

筑波山周辺は落葉広葉樹林が多く、ウグイスやミソサザイなどの小鳥が繁殖します。
標高が高い奥久慈山地ではルリビタキやカヤクグリ、ハイタカなどの山地性の野鳥も見られます。紅葉時期にはオシドリの群れが白川ダム湖などに飛来することもあります。

利根川・水田地帯

利根川周辺の広大な湿地や水田では、コチドリやチュウサギ、タヒバリなどが観察されます。
冬にはヒドリガモやカルガモの大群が越冬し、タシギやオオヨシキリといった渡り鳥も多く集まります。河川敷近くには水鳥観察センターも整備されており、初心者にもおすすめです。

大洗海岸・沿岸エリア

大洗海岸は太平洋に面し、那珂川河口や岩礁でウミウやウミアイサなどの海鳥観察が楽しめます。
冬季は沿岸部でユリカモメやウミネコが飛び交い、ハマシギやトウネンの群れも見られます。駐車場の高台からはミサゴがカモ類を狙う姿も観察できます。

季節ごとの野鳥観察ポイント

野鳥は季節によって飛来種や見られる種類が大きく変わります。
ここでは春・夏・秋・冬それぞれに楽しめる野鳥の特徴を紹介します。

春(3月~5月)

3月から5月は冬鳥が南へ戻り、夏鳥が次々と飛来する季節です。霞ヶ浦や涸沼にはマガモやオナガガモの群れが飛来し、田園地帯ではコチドリやセグロセキレイが見られます。
筑波山麓ではウグイスやシジュウカラのさえずりが響き、夕方にはツバメやヒバリが大空を舞います。

夏(6月~8月)

6月から8月にかけては夏鳥の繁殖期で、湿地や林で活発な生態が見られます。霞ヶ浦や涸沼ではオオヨシキリやセッカが盛んにさえずり、田園地帯ではヒバリが高く飛びながら囀ります。
夜行性のアオバズクが樹上で見つかることもあり、湿原や河川ではチョウゲンボウなどのタカ類も観察できます。

秋(9月~11月)

9月から11月は渡り鳥が最盛期を迎えます。稲敷周辺ではアオアシシギやオグロシギなどのシギ・チドリの群れが見られ、霞ヶ浦ではトビやノスリなどの猛禽類も増えます。
林道ではカシラダカやアトリが通過する姿が見られ、紅葉と併せて野鳥観察が楽しめる時期です。

冬(12月~2月)

12月から2月の冬は北方から多くの渡り鳥が訪れます。霞ヶ浦や涸沼にはオオハクチョウやヒシクイ、マガンなどが越冬に飛来し、湖沼ではホシハジロ、オナガガモ、ハジロカイツブリなどが見られます。
広い湿原や河川敷ではチュウヒやハイイロチュウヒが観察でき、静寂な景色の中で滑空する姿は見応えがあります。

野鳥観察を楽しむためのマナーと注意点

野鳥観察ではまず基本的なマナーを守り、野鳥や他の観察者に配慮することが重要です。
以下に茨城県で観察を楽しむ際に特に注意したいポイントを紹介します。

観察時の基本マナー

野鳥にストレスを与えないよう、十分な距離を保って観察しましょう。
営巣中やヒナのそばには決して近づかず、鳴き声を流して呼び寄せたり餌を与えたりする行為は避けます。他の観察者や近隣住民への配慮として、静かに行動してください。

野鳥や生息地への配慮

観察中に出たゴミは必ず持ち帰り、自然環境を汚さないようにしましょう。
植物をむやみに折ったり土壌を荒らすと野鳥の生活環境を損ねます。立入禁止区域や案内標識に従い、生息地全体への影響を最小限に抑えましょう。

安全で快適な観察の準備

安全な観察には十分な装備と準備が必要です。
事前に天候を確認し、荒天時には無理に観察に出かけないようにしましょう。日焼け止めや防寒具、ヘッドランプなど季節に応じた装備を整え、食料と飲料も持参します。携帯電話の予備バッテリーを用意しておけば、万一の連絡手段として安心です。

まとめ

茨城県は湖沼や山林、湿地、海岸など多様な生息地に恵まれ、多くの野鳥を観察できます。今回紹介したスポットや季節ごとの見どころを参考にすれば、初心者でも効率よく観察を楽しめます。
ただし観察中は野鳥と自然に配慮して行動し、野鳥に不要なストレスを与えないよう心がけましょう。茨城県の豊かな自然が育む野鳥たちとの出会いを存分に味わってください。

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