日光野鳥研究会

第109回 観察会 報告

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日時:

2010年6月13日 9:00〜15:00

場所:

細尾峠旧道

参加者:

9名

【細尾峠旧道】

確認できた鳥: トビ、ヤマガラ、ハシブトガラス、アオバト、ヒガラ、キビタキ、シジュウカラ、カケス、ノスリ、アカハラ、コガラ、キセキレイ、イワツバメ
声を聞いた鳥: ジュウイチ、センダイムシクイ、オオルリ、ヤブサメ、コゲラ、メジロ、アオゲラ、カッコウ、アカゲラのドラミング
確認できた花(草本): ウツギ、モミジイチゴ、ヤマフジホオコゴメウツギニシキウツギヒトツバカエデミヤマガマズミヤマツツジカマツカオオバアサガラ(蕾)
確認できた花(木本): ニョイスミレ、ミツバツチグリ、ジバシリ、ヤマハタザオフタリシズカ、ギンリョウソウ、カキドオシ、ヘビイチゴ、ムラサキケマン
確認できた昆虫: ニホンカワトンボサナエトンボの1種(ヒメクロサナエ?)ヤマキマダラヒカゲ、カラスアゲハ、オナガアゲハ、トラフシジミ(春型)、スジグロシロチョウ、ミスジチョウsp、センチコガネエゾハルゼミ
その他: ニホンザル、クマの糞、テンの糞、ヤマドリの羽根

【木彫の里駐車場】

確認できた昆虫: ハルゼミ

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:6/13の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)

参考:6/13のアメダス(奥日光)のデータ

−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

6月13日(日)

 今回出かける細尾峠、日光と足尾を結ぶ旧道で、周囲は落葉樹林の林で新緑や紅葉の時節はとりわけ美しい峠道です。今回の参加者は9名とやや少なめでしたが、入会以来なかなかお目にかかれなかったAMさんが参加ということで各自簡単に自己紹介の後細尾峠へと向かいました。

 アカヤシオの咲く季節にはそれなりに賑わう峠道もほとんど車の通行はありません。空模様が心配されるものの、T気象予報士によるとやや持ち直すが不安定な天気のようで、しばらくは雨の心配はないようです。

 しかし峠に着くと思いの他日差しが有り、エゾハルゼミがしきりに鳴き交わして鳥のさえずりを聞くのは絶望的状況、目視だけで鳥の姿を探すこととなりました。贅沢な事を言うようですが、この時期は天気が良いのも考え物です。

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 日差しが陰る事を願いつつセミの声の中から鳥らしき声を探しつつ林道を進みます。

 ヤマガラの少し鼻にかかったような声がセミの声の割れ目から漏れてきます。何か鳥の声がしている気がしますが判然としません。

 目線を下げると道端にはカマツカミヤマガマズミの白い小さな花の集まりが枝を差し出していますし、路肩にはヤマハタザオが名前のごとく、蕾を先端に付けた竿の様な茎をまっすぐに立てています。

 汗に来る習性のあるヤマキマダラヒカゲが皆の汗を求めて愛想良く飛び交い、I氏はまるで蝶使いのように蝶を操って手にまとわりつかせて楽しんでいます。

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 少し日が陰り涼しさを感じるようになるとセミの声が静まってきます。すると今まで気づかなかった鳥のさえずりが耳に入ってきます。もっとも鳥も騒がしい中で鳴いても意志疎通ができず、セミガ鳴き止むのを待って鳴きだすのかもしれないと言う事になりました。セミが鳴き止むとキビタキやセンダイムシクイ、カラ類の声が林の中からこだましてきます。キビタキは枝先にひととき姿を現して目を楽しませてくれましたが、なかなか姿を視界に入れられず苦労します。今年はキビタキが多いように感じられます。

 これと言った休憩場所も無いので、道ばたに座って昼食をとることになりました。

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 ほとんど車は来ない峠道ですが、中年男女ペアーの乗ったスポーツタイプの車が1台、林道を上ったり下ったりしているのに出くわしました。カーブを出て地面にたむろするグループに、何をか言わんやと言った表情。

 再び歩き始めるとリョウブの葉陰にシジミチョウを発見、ミドリシジミと早とちりしましたがトラフシジミ春型だそうで、翅の裏の白い縞模様がはっきりしているのが特徴とのこと。どうやらリョウブの木の蕾に産卵しているようです。私にとっては初めて見るシジミチョウで、手元の図鑑によると食草はマメ科、ミズキ科など多岐にわたるとあります。I氏によると最近リョウブを食草にしているとのことでした。

 松田顧問がカラスが怒っているので猛禽がいるかもしれないとの言に上空を注視しますが、重なり合った葉が邪魔をしてよくわかりません。

 それでも1羽の猛禽が上空をかすめて行くのが確認できましたがノスリだったようです。種類がわからないサナエトンボの仲間がいましたが、トンボの同定には最低でも背面と側面の確認が必要のようでなかなか難しいです。

 しばらく行くと道のど真ん中に小熊とおぼしき糞を発見、車に乗って峠に向かうときは全く気づきませんでした。

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 ほぐしてみると植物質の物を食しているようで、一様に草色をしていました。ちょっと手前では動物の糞を餌とする糞虫の一種のセンチコガネが見られました。最近はどこでも熊の痕跡に出合う事が多くいずれはと言う気がしなくもありません。少人数の時は気をつけなくては・・・。

 観察会も終わりに近づくころ、オオルリの美声がすぐ近くに響き渡りました。

 皆で懸命に探すも姿は見られません。きっとオオルリからもこちらがわからない所にいたのでしょう。緑の森にこだまする美しい囀りはフィナーレにふさわしいものでした。

【報告: YR】
【写真: TK、AY、YR】


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