日光野鳥研究会

第106回 観察会 報告

日光野鳥研top


日時:

2010年3月14日 8:30-16:30

場所:

奥日光・湯滝〜泉門池周辺

参加者:

9名

【湯滝〜泉門池周辺】

確認できた鳥: ゴジュウカラカワガラス・ミソサザイ・コガラヒガラコゲラ・エナガ・キバシリマガモヨシガモ・トビ・ハシブトガラス(声)・(アオシギらしい鳥)
確認できた昆虫: 蛾の仲間、ユスリカの仲間

【湯ノ湖】

確認できた鳥: オオバン・キンクロハジロ・マガモ・ホシハジロ・ヒドリガモ・オカヨシガモ・ミコアイサ・カワアイサ

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:3/14の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)

参考:3/14のアメダス(奥日光)のデータ

−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

3月14日(日)

 3月14日、日曜日。ここしばらく灰色の空を見上げる日でしたが、昨日から暖かく良い天気です。バードウォッチングのデビューとしては最高の環境です。目的地は、湯滝〜泉門池(昼食)〜湯滝の約5時間のコースです。
自宅で餌付けしており、スズメ・キジバト・ヒヨドリ・ヤマガラ・シジュウカラ・メジロはよく遊びに来てくれます。シジュウカラ・ヤマガラは姿を見ても逃げなくなり、可愛さヒトシオです。
とはいえ、その他の種類は皆目判らない状況です。又、目視できても双眼鏡を持つとその位置を捉えることが出来ません。今回、野外で小鳥たちの姿を探し出せるか問題です。
 集合は、8時30分に木彫りの里センター。少々緊張気味で木彫りの里センターへ向かいます。9名の参加者でした。ここから2台の車に便乗してスタートです。

 まず、三本松へ向かいます。目的地までの積雪は少なく、道路に雪解け水は見られません。三本松にてスノーシューをレンタルし、トイレタイム。スノーシューは初めて見ましたが、カンジキのような形状です。それとストックがセットとなります。

.

.

 その後、湯滝駐車場へ向かいます。湯滝駐車場への急な坂道も積雪なしで順調に到着。既に駐車している車が数台ありました。湯滝を右に見ながらコースに入ります。ここでスノーシューを履きますが、これの装着が上手くいかず悪戦苦闘。どうにか靴と一体化し、さあ出発。

 小鳥の鳴き声が聞こえてきます。ん〜何の鳥?ゴジュウカラとのこと。しばらく川に沿って歩いていると又、鳥の鳴き声。これはミソサザイとのこと。川のせせらぎとミソサザイの声は確かにうっとりです。姿を見つけられた方も居られましたが、私はキャッチ出来ませんでした。

ゴジュウカラ

 9名が列をなして進むのですが、あちこちの鳥の声で一時停止してしまうので先頭グループが気づくと、しんがりグループが離れた後方で停止し探鳥中という感じです。私はこの時点いまだ、肉眼で見ることは出来ましても双眼鏡を持つと目標物を外す状況でした。
しばらく歩いていきましたら小滝です。ここにはマガモつがいと、カワガラスが居ました。こちらは静止しておりましたので、双眼鏡でじっくり観察できました。マガモは上流に向かって泳いでおり(流れがあるので静止しているように見える)、足を掻いているのも確認できました。カワガラスは中州で休んでいるようでした。

 ここから一路、泉門池に向かいます。小鳥の声は聞けず、「獣の足跡が無いね」という声が聞こえてきます。と、人の足跡らしき雪の陥没跡の縁に、長さ6〜7mm、幅2〜3mmの蛾(?)らしき1匹を見つけました。雪の上に「ひっし」という感じでしがみついています。枯葉の一片?と見間違う姿です。「こんなところで1匹?」何とも不思議な驚きのある光景でした。そして、更に驚かされたことは、その蛾の発見に感激し観察、撮影、そして情報交換と怠らないメンバーの方々の真摯な姿でした。

 途中、メンバーの1名の姿が見えなくなっておりました。少々心配しながら(?)携帯電話しましょうか?と話しながら、問題ないだろうと判断して進行。12時近く、泉門池到着しました。姿を隠していたメンバー1名は既に到着しており、皆安堵しました。私たちの他、2つのグループも休憩中でした。泉門池で13時まで、昼食と自由時間です。

 昼食後、池を探索。頭部が緑色やら紫色という綺麗な鴨がおり、葦鴨(ヨシガモ)と教えていただきました。実は頭部の色が緑色と紫色の種類がある訳でなく、同一個体であるとの事です。「構造色によるもので色素を持っている訳でなく(虹とか孔雀の羽も同様)、微細構造により、光が干渉するため様々な色彩が見られる」、との講義を受けました。そういえば昔々、生物の時間に習ったような気がします。

ヨシガモ

 隣のグループの方がスコープを持っておられ、見せていただけました。スコープは、確かに大きく見えます。葦鴨の正面顔は、愛嬌があり思わず「クスッ」と笑みが出る程しっかり見ることが出来て感激でした。探餌の時、水中に頭を垂直に入れると脚が見える逆立ち姿はまたまた愛嬌があり、本人は懸命なのでしょうがほほえましい限りでした。
 13時に出発。途中、ゆるやかな階段を上がった場所がありまして、その周辺あちこちで小鳥の声が聞こえます。エナガ、コガラ、ヒガラとメンバーの方々のお話です。どうにか双眼鏡で捕まえられたのが、コガラでした。ベレー帽を被ったような姿で、絵筆を持たせたくなるようなお洒落な小鳥です。ヒガラの姿もチラッと見えました。エナガは少々遠い木々を移動していましたが、双眼鏡では追いかけられず残念でした。

 「これからの道はアオシギが見られるかも」との声が上がります。図鑑を持参した方より見せていただき、説明を受けました。さて、これで予習はバッチリ、期待が膨らみます。アオシギは川沿いに見られるとの話でした(観察出来る確立は高く、2/3の割合)。しかし、その川沿いにも、残念ながら見られませんでした。その代わりマガモとキバシリの姿を、双眼鏡で見ることが出来ました。キバシリは樹をスルスルと昇っていき、突然脚を踏み外したように「パタッ」と落ちます。私は、その時点で姿を見失います。鳴き声の確認は出来ませんでした。

その後、出発地点湯滝へ向かいます。到着地点でミソサザイとヒガラの囀りを聞くことができ、これは嬉しい限りでした。ここでスノーシューを外し、車に乗り込み三本松へ向かいます。三本松でスノーシューを返却し、トイレタイム。その後、湯の湖に行くことになりました。
 金精道路入口に駐車し、水鳥を探します。遠くに群れる水鳥が見えます。「カワアイサ、オカヨシガモ、ミコアイサ、オオバン、キンクロハジロ」、との声が上がりますが、私には識別不可能。ミコアイサはぬいぐるみを持っており姿は知っていたのですが、スコープで見させていただいても「あの白い水鳥がミコアイサ?」の状況でした。水鳥が氷上をチョコチョコ歩いてから湖面にチャポンと入る仕草は、私がお風呂に入る時の「フゥ〜やれやれ」的雰囲気があり、同調しておりました。

 今回は、初体験のことでもあり少々緊張しましたが、メンバーの皆様の情熱と優しさと厳しさに触れ、楽しく散策し無事に終了できました。お天気が1日続いたことも幸いでした。ただ、双眼鏡に不満が、観察技術はさておき、少々残りました。
 私事ですが、このところ日本の古典芸能にはまっておりまして、それらは好きな事であるのですが、結構ストレスが溜まります。問題は2点あり、まずお座敷ごとなので室内で行うものである事、そして達成感を得るのが難しいこと。(いくら稽古しても上手にならないっ!!!)
今回のように、野外における活動は本当に久しぶりでした。
 日光の自然の中に立ち、自然界の流れの仲間入りにチョットさせて貰えたような、その営みを感じられたような・・・そんな気がします。心が何となく、軽く温かくなったようです。
 これで、報告を終了いたします。
 最後に、この紙面を利用させていただき、皆様にお礼申し上げます。

追記:2/21(日)午後、山内の御神馬厩舎近くで「チルル♪・・・チルルルル・・・♪」という声が聞こえます。エナガお2人様です。エナガを「サーカス毛玉」と呼ぶ方がおりましたが、本当である事確認しました。すぐ目の前1〜1.5mを15秒間程でしたが、軽業師の様にそこここと飛び跳ねてました。

【報告: KT】
【写真: YH、TK、AY】


日光野鳥研top