日光野鳥研究会

第96回 観察会 報告

日光野鳥研top


日時:

2009年3月1日(日) 10:00〜16:30

場所:

井頭公園(宇都宮市)

参加者:

15名

【井頭公園】

確認できた鳥:

マガモカルガモオナガガモコガモヒドリガモオカヨシガモヨシガモ・キンクロハジロ♀×1・カイツブリ・ミコアイサマガン×1・カワウ・アオサギ・ダイサギ・バン・オオハクチョウ・カワセミ・マガモとカルガモのハイブリット

シジュウカラ・ヒガラ・コガラ・ヤマガラエナガ・キクイタダキ・アオジ・アトリ・ビンズイ・カシラダカ・メジロ・ルリビタキ・カワラヒワ・ジョウビタキ・コゲラ・アカゲラ・モズ・ツグミシロハラシメ・キレンジャク・カケス・ヒヨドリ・キジバト・セグロセキレイ・ハクセキレイ・トビ・ミサゴ・スズメ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ドバト・アヒル・ガチョウ

声を聞いた鳥: ウグイス(地鳴き)
確認できた植物: ザゼンソウ・オオイヌノフグリ(公園のため植栽が多いため参考まで)
確認できた両生類: ニホンイシガメ

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:3/1の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)

参考:3/1のアメダス(真岡)のデータ


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

3月1日(日)

 今回設定の観察地は日光野鳥研では始めての場所「井頭公園」。宇都宮市の南東部に位置し、日光から車で1時間半弱のロケーション(日光−宇都宮道路利用で1時間強)。

 井頭公園駐車場集合で、今回は15名の参加。当日は一日中曇りで寒さも厳しいとの前日の天気予報のせいか、各自防寒態勢をしっかり整えて定時の10時前には全員集合。日頃の行いのせいかスタート時間には雲の切れ間から青空が顔を出し、薄日までさしてくれるという瑞兆に背を押されるようにして観察開始。

 井頭公園は中央部に細長い大きな井頭池があり、それを囲むように周囲に丘陵地、雑木林、湿地帯等が整備され、つり池、バラ園、植物園等も点在する県営の大規模公園。

 まずは駐車場から目の下に見える井頭池のビュースポットに下ろうと、スタートしたすぐの地点で、早々に数羽のアオジが低潅木と草地の間をチョコマカと動くさまに遭遇。コゲラ、カケスも居るとの声に各自スタート直後で早くも足を止め、しばし観察体勢に。

 池畔に進むと、池の中には手の届くところに様々なカモ類(マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、ヨシガモ)が群れをなして浮かび、少し遠くにはハクチョウ、青サギがいて、目をこらすと2羽の白く目立つミコアイサが、池の表面に浮いてはすぐに潜水をするという食餌行為をしているという魚影ならぬ鳥影の大変に濃い情景が待っていました。

 魚影と言えば、池の中ではまるまる太ったいかにもメタボ然とした鯉が群れて身を寄せ合い、重ね合いして岸辺で餌を求めている様にも少々驚かされました。(全く余談ですが、金子兜太さんの俳句に「谷に鯉 もみ合う夜の 歓喜かな」という大人の俳句があり、チョット連想してしまいました。)

 目を上げると、彼方から十羽前後の青サギが群れて、ゆったりと優雅に大きな羽を上下させながら池を縦断する姿に遭遇し、その飛来する姿がいかにも垣間見えた青空に映え、高い精神性を感じさせる光景でもありました。こちらでは若山牧水さんの「白鳥は かなしからずや 空の青 海の青にも 染まずただよう」を思い起こしました。(後者感想は前者のばれ句(ではないのですが)感想でレベルを落としたと、後で顰蹙を買わないための付け足しです。←言い訳です

. .

 続いて池畔を水辺に沿うように歩き始めると、岸辺にはガチョウや家鴨、物怖じしないカモが日向ぼっこをしていたり、カワウの群れが池に打ちこまれた一本ずつの杭の上で同じ姿勢で同じ方向を向き、少々哲学的な面差しで立ち並んでいたりと次々に新たな観察対象が現れ、観察者を退屈させません。

. .
. .

 池は東西に細長く伸びていて、西端の湿地植物園の側には白い木肌の立ち枯れたような榛(はん)の木が水の中に距離を置いて4〜5本立ち並んでいます。ここにも全体で百羽を越えるカワウの集団が黒いマントを羽織っているかのような立ち姿で木々の枝々にびっしり止まっていて、その光景は何か寒々しく荒涼としたものでした。そしてさらに偶然でしょうが、この黒いカワウ集団のいる反対側の岸辺には、葉を落とした広葉樹の木立の中程の梢に1羽のダイサギが白い大きな姿をカワウに対峙させるかのように目だ立たせていました。岸を隔てて向かい合う黒鳥の集団と一羽の白鳥(しらとり)の光景は一層の「孤愁」を感じさせてくれました。いやいや内容の濃い形而上学的な示唆に満ちた観察会前半の観察風景でした。(始めにうっかり下ネタ風の余談で入ってしまいましたので、読者に一方的に誤解されることを恐れ、少々無理して格調高くまとめさせていただきました。

. .

 ここで昼食タイム。相変わらず観察会の進み具合は1km弱/時間のペースといったところです。そうそう昼食地ではキレンジャクを見かけた方がいて、チョッと盛り上がりました。

 昼食後は井頭公園付属施設の「花ちょう遊館」見学希望者もいて、分かれての行動に。

 わたしのグループは池から離れ雑木林を散策。林の中は落ち葉を集めた直後らしく、歩き出すとすぐに、餌を求めて地表を動き回る小鳥が目立ち、観察するとシジュウカラの十羽近くが地面と地表近くの小枝を言ったり来たり忙しそうに動き回っていました。さらに進むと茂みの中にはジョウビタキ、エナガ、シロハラ、シメ等が現れては消え、さらにゆっくり鞍部を越えて進むと、そこにモズがいたりコゲラがいたり、と入れ替わり立ち代り楽しませてくれました。

. .
. .

 今回観察後の鳥合わせの結果では51種類の観察が出来たとのこと。ここしばらくの観察会の中では抜きん出て高い観察結果だそうです。個人的にも自分の目で観察できた鳥の数は今まででの参加観察会の中で最高の数でした。前回までは万年素人の悲しさで、居たらしい、という印象しか得られませんでしたが、今回は、確かに居た、という実感を持てる観察会となりました。(最も誰でも確実に観察できる水鳥の存在は大きかったかも知れませんが、水鳥以外の野鳥においても、充分に種類、個体数を確認でき、絶好の観察地だと思えました。)

 青空に祝福されて縁起良く始まった観察会は、青空はすぐに厚い雲にとって変わられてしまいましたが、観察対象については始めから最後まで大変内容の濃い観察会になりました。

 公園内では、曇天で気温が低いという悪条件にもかかわらず、他のバードウォッチャー、マラソンランナー、ウォーキング愛好家、家族連れ等々の自然を楽しもうとする人達に出会いました。園内は随分手入れもされていて栃木県も頑張っているなあ、と実感しました。

 整備された自然公園はどこまでが自然といえるのか、鯉も小鳥も皆丸々と太って見えてしまいましたので、野鳥のサファリパークかな、と思えてしまったのは少し贅沢に過ぎるかもしれません。(鳥がみつからないとすぐに嘆き、見つかり過ぎても皮肉な思いにとらわれる嫌な性格です。反省。反省。) 

以上

<井頭公園の野鳥小図鑑>(クリックで別ウインドウが開きます)


マガモ

カルガモ

オナガガモ


コガモ
. . .

.

ヒドリガモ

オカヨシガモ

ヨシガモ


ミコアイサ

.

.

.

.


マガン


カワウ


ダイサギ

.
オオハクチョウ
. . . .

シジュウカラ

ヤマガラ

エナガ

アオジ
.. . . .

ルリビタキ

ジョウビタキ

ツグミ

シロハラ
. . . .

シメ

ヒヨドリ

セグロセキレイ

ガチョウ

【報告: KY】
【写真: AY、ST、YH、TK、IT、RY】


日光野鳥研top