日光野鳥研究会

第91回 観察会 報告

日光野鳥研top


日時:

2008年10月19日(日)09:00〜15:30

場所:

稚児ヶ墓(女峰山山麓)

参加者:

8名

確認できた鳥: キクイタダキ、キバシリ、ヒガラ、コガラ、カケス、トビ、ハシブトガラス、キジバト、シジュウカラ、モズ、ツグミ、シロハラ、エナガ、アトリ、マヒワ、猛禽1種、アカゲラ(声)ウグイス(声)、ヤマドリ(ドラミング)
観察できた植物(花): リンドウシロヨメナ、ニガナ
観察できた植物(実): ナツハゼ、ズミ、ツルウメモドキ、マユミ、リョウブ、サルナシ
観察できた植物(紅葉): イタヤカエデ、オオイタヤメイゲツ、オオモミジ、ハウチワカエデコミネカエデ
観察できた蝶: クロヒカゲ、イカリモンガ
観察できた動物: シカ(ラッティングコール)
観察できたキノコ: スギエダタケ(キノコの同定は非常に難しいため推定)

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:10/19の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)

参考:10/19のアメダス(奥日光)のデータ(PDFファイル)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

10月19日(日)

 10月の中旬にしては暖かすぎるほどの、朝から素晴らしいお天気だ。
9:00 木彫りの里駐車場に集合。観察会案内の『稚児ヶ墓までの距離は片道約2km、標高差は約400m、稚児ヶ墓の標高は1130mです。』に恐れをなしてか、日光の紅葉シーズンの渋滞を躊躇してか、今回の参加者はわずか8名。滝尾神社駐車場へ車2台で移動する。
駐車場に、なにやら見たことのある車が隣に停まっている。野鳥研メンバーのタケさんの車だ。観察会に参加せずに、どこへ行っているのか・・・。

 担当のTさんから挨拶、続いて顧問の松田さんより「今日参加したのは、野鳥研の精鋭メンバー8人です」と激励され、歩き始める。その前にYさんが、タケさんの車のフロントガラスに「お久しぶりー(はあと」と置手紙をした。
歩き始めてすぐに、道端にサルナシの実が落ちていた。これって美味しいんだよねーと、目は探鳥から、秋の美味しいもの探しモードに切り替わっている。

 道々、松田さんが「18年前、この木にコゲラの巣があり繁殖していた」「石段右の石垣にはキビタキの巣があった」「あの杉の木には、クロツグミがいた」など懐かしそうに話される。松田さんと日光の係わりの深さを感じさせる。
行者堂から急勾配の林道になるが、そこで根をあげたら、精鋭メンバーの名が廃る。

. .

 「殺生禁断境界石」の石碑をじっくり見ている振りをして、荒い息を整える。

.
. .

 カケス、キクイタダキの姿が、樹林の間にチラチラ見える。
杉林に、ヒガラ、キバシリ。ここの標高(850m)はキバシリがいるのには、かなり低い方なのだそうだ。
カラスの声もする。「カーカー」縄張りに入ってくるものに対して発せられる宣言の声。「ガーガー」という警戒の声。松田さんは、カラスの声を聞き分けることができるのだ。『ききみみずきん』のおじさんだ。

. .
. .

 ツタウルシの紅葉が美しい。ズミの実も今年はたわわに実っている。実といえば、ヤドリギやイチイの実など、核の部分に毒を持っているものがあるが、鳥は実を食べても噛まずに丸呑みをし、種を遠くまで運んでくれる。繁殖の摂理の妙だ。もしそれらの実を頂くことがあったなら、けっして種を噛まないように。木はその実を人にではなく鳥に食べてもらいたいのだ。遠慮して、少しだけ頂戴しよう。

 コガラのさえずりが聞こえる。道端にはリンドウが咲いている。
ヤマドリのドラミング。「ホーホケキョ、ホケキョ、ホケキョ」とこの時期にウグイスのさえずりは珍しい。ウグイスか、またはモズかカケスの鳴き真似か、はたまたどこかに隠れたタケさんか。モズやカケスはウグイスのさえずりを真似るそうだ。ルリビタキの声もする。コミネカエデが真っ赤に紅葉し鮮やかだ。オオイタヤメイゲツもとても美しい。

. .

 リョウブの実は、小さなケシの実のようだが、食べるとなかなか美味しい。新芽はリョウブ飯として香り高く絶品だそうだ。春になったら試してみよう。

 なにやら美味しそうなキノコを発見。けれどキノコにはご用心。(あとから、安全で味も良いスギエダタケと同定)
稚児ヶ墓のお地蔵さんにバナナがお供えしてある。これもタケさんからの何かのメッセージなのか?お地蔵さまをみて「ああ、タケさんもこんなに萎んじゃって」って誰が言ったの?
稚児ヶ墓から別のルートを戻り、笹原でお昼にする。

 「こんなに素晴らしいお天気だから、これよりちょっと先の水場まで行き、眺望を楽しまないのはもったいない」と誘われ、食休みもそこそこに7人が歩き出す。

. .
. .

 ちょっとそこが、実はかなり急な上り坂。息も絶え絶えに、水場まで行った。
そこは、頑張って登ってきた者だけが見ることのできる、絶景だった。青空の下、ダケカンバの肌が白雲母色に輝き、カラマツは黄金色、笹原を渡る風、日光市を眼下に一望できる。澄んだ空気の中、全てが輝いて見える風景だった。素晴らしい。
下山途中、倒木のベンチの前には、おやつのナツハゼの黒い実が用意されている。美味しい。静寂のなか、秋の風物詩、鹿のラッティングコールが遠くで響きわたる。

 タケさんはいつ出てくるか(って熊か)、いつ会えるかと楽しみにしていたが、けっきょく最後まで会えずじまいだった。

 15:15 滝尾神社の駐車場に到着。タケさんの車は相変わらずある。フロントガラスの置手紙「お久しぶりー?」もそのままだ。どこまで行ったのだろう。女峰山へ登っているのだろうか。
木彫りの里に戻り、鳥合わせをして15:30に解散になった。
お日さまが輝き、紅葉と木に実を楽しみ、タケさんで盛り上がった一日だった。タケさん、話のネタにしてごめんなさい。観察会に参加しましょうね。

 後日談: タケさんは「合流しようと先発で黒岩まで行っていました。あまりに気持ちよかったので、発泡酒350mlを2本あけて、鳥の気配を求めつつ横になっていたら2時間経過。みなさんにお会いできませんでした。」とのこと。それもいいなぁ。

【報告: KJ】
【写真: TKe、TKo、YR、AY】


日光野鳥研top