日光野鳥研究会

第86回 観察会 報告

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日時:

2008年4月20日 9:00〜15:00

場所:

恋路沢

参加者:

18名

【恋路沢】

確認できた鳥: トビ・ノスリ・キジバト・コゲラ・キセキレイ・ミソサザイ・カワガラス・オオルリ♂・エナガ・シジュウカラヒガラ・ヤマガラ・ゴジュウカラ・メジロ・ホオジロ・カワラヒワ・ハシブトガラス
声を聞いた鳥: ウグイス・カケス
観察できた植物:(草本) ヒゲネワチガイソウキクザキイチゲ・フキ・ユリワサビエイザンスミレタチツボスミレヒナスミレヒトリシズカ・セントウソウ・ミツバコンロンソウ・マルバコンロンソウ・コチャルメルソウ・ハナネコノメ・ヨゴレネコノメ・ニッコウネコノメ・カタクリ・ハルトラノオ・ニリンソウジロボウエンゴサクヤマエンゴサクキケマンイワウチワケスゲ・フジスミレ・ツルネコノメソウ・ヒカゲスミレ
観察できた植物:(木本) モミジイチゴ・キブシアカヤシオヤマブキヤマネコヤナギ・クロモジ・ヤマザクラ ・ヤナギ種
観察できた昆虫: イカリモンガスギタニルリシジミ・キタテハ・テングチョウフタスジモンカゲロウ(幼虫)・オオカマキリ卵、カゲロウ種・マルハナバチ種・ビロードツリアブ・コオロギの仲間(幼体)
観察できた両生類・爬虫類: アズマヒキガエル(成体、卵、幼生(オタマジャクシ))・ヤマアカガエル(成体、卵)・トウホクサンショウウオ(成体、卵)
観察できた魚類: ヤマメ

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:4月20日のアメダス(五十里)のデータ(PDFファイル)


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4月20日(日)

 いつもの集合場所、木彫りの里駐車場に出かけると雲が重い。層積雲が一面にかかっている。次第によくなるはずの天気だが、はじめぱらつくかもしれない。上空の寒冷低気圧がまだ抜けずに大気を不安定にしているようだ。

恋路沢地図(クリックで拡大)

 Yさんから簡単な説明がある、今回は新しい場所、恋路沢だ、名前がいい。少々道がきつそうなのか車高の高いクルマばかり4台で向かうことになる。木彫りの里のトイレがまだ使えないこともあって鬼怒川有料道路料金所少し手前の駐車場でトイレタイムをとるが、下を流れる小川沿いにキセキレイが軽やかに飛んでいてここもいい。

 鳥が忙しく動き始める季節になった、これからがいい時期だが今日はどうだろうか。ときおりパラパラとふりかかる水滴をフロントガラスに感じながら121号線の左湯西川の分岐を左へ折れて橋を渡ると直ぐにまた左に曲がって林道に入る。次第に細くなるがまだ舗装路だ。次々にトンネルが現れる、このトンネルがいい。川沿いの道を歩くのも悪くはなさそうだと思いつつ、今回はとにかく先へ行って恋路沢に近いとおぼしき駐車場所までたどり着く。

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 クルマを降りると尾根に囲まれた沢沿いの平坦な道で、斜面の木々はまだ新緑には至らないがアカヤシオやヤマサクラが点々と見える。ほぼ満開。いい感じだ。とにかく駐車場所から18人が動き出すが、すぐに足が止まる。水たまりにサンショウオの卵が横たわっている。さわったり写真に写したり忙しい。植物班もサンショウオまでもたどり着かないうちに動かなくなる。これではとても恋路沢にたどり着けない。

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 しかし、心配だった雨はどうやらクルマのフロントガラスの数滴くらいで終わってくれた。風も川風が北から2−3mくらいの感じで、気にしていたほどでもない。のんびりと時間を全く気にしないで動ける、これがいい。次第に18人がながーく引き伸ばされて、気になるものをそれぞれに見たり触ったりしている。見慣れぬ花が多い。コチャルメルソウ、ケスゲ、ヒナスミレ、・・・春に一度しか咲かない花で普通には見る機会の無い野の花はなかなか頭に入らない。植物班は特に歩みが鈍くなる。

 鳥はまだまだの時期で後で鳥合わせしてみるとそれなりの種類が出るが、歩いていると数は少なくて、シジュウカラでもヤマガラでもエナガでも出ればしつこく追いかけて見てしまう。ハシブトガラスさえまじまじと見てしまうくらいだ。しかし、ミソサザイの声は遠くなったり近くなったりあちこちで鳴いている。花もいいし生き物にも春が満ちている。こういう雰囲気なら、鳥の数が少なくても構わない。

 雨で出来たような水たまりにアズマヒキガエルの卵がとぐろを巻いている。水が干上がったところにさえころがっている。こんなに長々とどうやって生むのだろうかと不思議な気になる。生んだあとで水でふやけるのだろうか、真剣に考えてしまう。ヤマアカガエルの卵もみずたまりの端っこに広がっている、水たまりという水たまりは、とにかくカエルの卵だ。おたまじゃくしにかえったのもいる。こんな場面はOさんの独壇場だ。「この卵はなんだろう」、「サンショウウオが出てきたようだが・・・」と、あちこちでOさんを待つ姿、2時間かけて1kmくらい動いてもう昼だ。

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 河原で昼食。いつもながらSさんには感謝。今回はウドのテンプラとしいたけとふきが全員にふるまわれる。歯ごたえがよくてとにかくおいしい。

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 重い雲も予報通り切れてきて晴れ間がでてくる、暖かくなる。ゆっくり来た道を戻るが鳥の動きがやや良くなる。ゴジュウカラのフィフィという鳴き声が聞こえ姿も見える。ミソサザイも元気だ。終わり頃には遂にオオルリの声も。運のいい人はしっかり見ることもできたようだ。またクルマに分乗して木彫りの里まで戻る。

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 まだ時期がすこしばかり早くて鳥の数は多くはないが、春を存分に感じ、いい1日が過ごせた、と感じさせる観察会だった。

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【報告: TK】
【写真: TK、ST、YR】


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