日光野鳥研究会

第80回 講演会+観察会 報告

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日時:

2007年10月13日 13:30〜17:00(録音講座)
2007年10月14日 9:00〜15:00(観察会)

場所:

日光市日光公民館 第2会議室(録音講座)
霧降焼石金剛に至る尾根1700m地点、及び、見晴台への道(観察会)

参加者:

21名(録音講座13名)

【霧降高原】

確認できた鳥: ヒガラ・カケス・ドバト・マヒワ・シジュウカラ・ウグイス・ビンズイ・ウソ・ヒヨドリ・ルリビタキ・エナガ・キジ(オス)・ハシブトガラス・オオタカ?・オオルリ(メス)
観察できた樹の花: オヤマリンドウ・ニッコウアザミ・シロヨメナ・ノコンギク・アケボノソウ・ナギナタコウジュ
観察できた樹の実: ツリバナ・クリ・カマツカ・サルナシ・ヤマブドウ・オオカメノキ・ナナカマド・ツルウメモドキ・メギ・ミズナラ
観察できた紅葉: ハウチワカエデ・オオイタヤメイゲツ・サラサドウダン・コメツツジ
観察できた哺乳類: サルサルの糞
観察できた昆虫: ウラギンヒョウモン
観察できたキノコ: ヌメリイグチ?・スギヒラタケ?

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:10月13日・14日の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

10月13日(土)

 今回の日光野鳥研初の「録音講座」、実にタイムリーな企画だ。録音機を買って闇雲に録ってみたものの、思い描いた音には程遠い。初めのうちは録れただけで大満足だったのが、もう少しなんとかならないかなぁと思い始めた矢先だった。日光公民館の二階の会場には、本日の講師松田さんの初期から現在までの機器が並べられ、スピーカーからは録音された音が流れていた。

 実は、この日早朝に戦場ヶ原に上がり、赤沼から泉門池方向に木道を散策した折に「謎の声」を録音していた。赤沼から少し入ったところの藪の中で盛んに鳴いているのに姿はまったく見えない。かなり粘ったけど結局録音だけして諦めた。いつもだと「謎の声」は謎のままで終ってしまう。でも今日は録音がある。さっそく松田さんに聞いていただくと「ウグイス」とのこと。なにかすっきりした気持ちである。録音機を持っていて良かったと思う瞬間だ。

 開始時刻である一時半の5分前には本日の参加者全員が揃っていよいよ講義開始。まずは録音機の変遷と特徴から入る。ガンマイク・ダット・パラボラ・・・聞き慣れない用語が続く。私の機材はステレオマイクの付いたICレコーダーだ。昔はとてつもなく大きく重い機材を担いでの録音だったとのこと。今私の使っているものはとても軽いし小さい。操作もボタンを押すだけである。技術の進歩によって、近頃「私にも出来る事」がとっても増えた。

ここから大事なポイントが目白押し。まずは、

1、距離を半分につめれば音は4倍の大きさで録れる。(目からウロコ1枚目)
  ・・・と、なると次は鳥に近づく方法。

2、鳥を見ない。追いかけない。興味の無いフリをしてじっとしていれば、鳥から近づいてくる。(目からウロコ2枚目)
  鳥をしっかり見つめて録音機を突き出していた私は深く反省。今日からさっそく改めよう。

3、ノイズは周りの雰囲気を伝える大切なもの。ノイズと戦わないで取り入れる。(目からウロコ3枚目)
4、録音機は地面に置く。下の方がノイズを軽減する事が出来る。(目からウロコ4枚目)
5、録音のコツは、一にマイクポジション、二にチャンスを逃さないこと。
  録音機は放置すると鳥に影響を与えないので自然な音が録れる。
6、編集は「自然を再現する」を目標に!ノイズの取り過ぎは不自然。元の自然の音を参考にする。

 松田さんの資料に従ってどんどん講義は進む。一度の休憩を挟んで3時間があっという間だった。

 機材のこと、録音のテクニック、音作り(編集)、音源の整理など大切な事ばかりで一度にはとても覚えきれないけれど、「鳥のさえずり」を自分のものに出来るのはとても嬉しい。楽しむ気持ちを大切にしながら、少しずつでも上達していけたらと思う

 最後に、すばらしい講義をありがとうございました。

(以上、MK)

10月14日(日)

 予定の9時より少し早め、カツラの落ち葉の甘い香りの木彫りの里駐車場にみなさん集合。
予報より暖かく青空ものぞく。やった!野鳥研マジックで今日は鳥見日和かも。
Tさんからコースと天気予報、松田さんから今日の見所概説、さて出発。

 車に分乗し霧降道路を登っていくと、紅葉もちらほら。

 リフト乗り場手前で早くも2羽の鳥影が。ルリビタキです。
ツリバナ、ナナカマド、と赤い実のおさらいも。

 霧降第3リフト駐車場(少し寒い)から、第3リフト、第4リフト(だいぶ寒い)と乗り継ぐ。
第3リフトに乗っていると足元にはリンドウが寒そうに咲いている。ヒヨドリが飛び立つ。
あれれ、晴れてくるはずがどんどんミルク色の世界に・・・。うーん???

 上に行けば晴れてきます、とのお告げを信じ歩く。
10:25に1700m付近到着。
寒い、白い、静か・・・。「待ちましょう。」またもや、お告げの声。
霧の中を3羽のスリムなシルエット。ビンズイだそうです。

 風も出てきて寒ーい、でも、この風が霧を吹き飛ばしてくれるかも。
かすかにお日さまも。
つかの間、霧のヴェールが開き対面の斜面が登場。「わー」緑の中に紅葉が点々、しばし、見とれる舞台でした。
寒さに耐え切れず何人か登って暖をとろうと試みました。寒さ、白さ、静かさ、変わらず。
お日さまがうっすら射すと、小鳥系のチチチの声がコメツツジ(?)サラサドウダン(?)の中から聞こえますが、姿は確認できず。時々、霧の中からシカの声。

 白い中での昼食タイム。
髪の毛に水滴がつくので、霧って水なんだなぁと実感。(小6感想)

 田中さんから、見晴台方面へコース変更しましょうとの提案があり出発。
途中、カケスがキレイなブルーの羽を見せて飛んでくれました。貴重な1ショット。

 霧降第3リフト駐車場付近で、朝から動かない、アザミにとまったウラギンヒョウモン。
キジ♂もポーズを決めてくれました。

  移動し、13:30〜、見晴台に向かって歩き始めます。
この小道にはヤマグリとミズナラのどんぐり(ころんと大きい)がたくさん。
でもクリの一番美味しいふっくらしたところは100%食べられています。誰? 上手にむいてあるところを見るとサル?

 木の板を渡した川を渡り(この場所お気に入り)、しばらく林の中を歩きます。
ヒガラ、シジュウカラがちらほら。
足元には、キノコ。
適当なところでUターンして戻る途中、サルナシをいっぱい食べただろうサルの糞。いいなー。
川岸のヤマグリの木がゆさゆさ。カケスのお食事中でした。ドングリよりも美味しいよね。

 車を停めたところは食材地帯。すばらしき食料調達班が、ヤマブドウ、カマツカ、サルナシをGET。
ヤマブドウはちょっとしなびたアウスレーゼ状態が美味。サルナシ(ハーフドライ)はキウイの味。
どう見たって「やぶ」。この中から最後の一房のヤマブドウ、最後の一粒のサルナシを見つけ出すなんて鳥の目?サルの目?仙人の目?
カマツカはりんご風味。カマツカの木は姿もよく、赤い実が美しい。リキュールにつけると美味しいかも。

 と、鳥見日和とはいきませんでしたが、寒くても白くても静かでも楽しんでしまうのが、野鳥研流ですね。(採実日和、との声あり。)
みなさま、お疲れ様でした。

(以上、WR)

【報告: MK、WR】
【写真: WR、TK、IT】


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