日光野鳥研究会

第79回 観察会+総会 報告

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日時:

2007年9月22日 9:00〜15:00

場所:

雲龍渓谷

参加者:

16名

【雲龍渓谷】

確認できた鳥: シジュウカラ・コガラ・ヒガラ・エナガ・メボソムシクイ(囀りも)・ビンズイ・ノスリ・ハヤブサ・ハチクマ・小型タカ類・ハシブトガラス・カケス・ヒタキ類♀・大型ツグミ類・キセキレイ・イワツバメ(らしい)
声を聞いた鳥: アオゲラ・コゲラ
観察できた樹の花: テンニンソウ・ノコンギク・シロヨメナ・ウメバチソウ・ダイモンジソウゲンノショウコ・アケボノソウ・ナギナタコウジュ・ニガナ類
観察できた樹の実: マユミ・ヤマブドウ・サルナシ
観察できた昆虫: アサギマダラ・キタテハ(秋型)・オオチャバネセセリ・イチモンジセセリ・キチョウ・ミドリヒョウモン・クモガタヒョウモン
ホソクビツユムシ・ヒロバネヒナバッタ(声のみ)・ヤマヤブキリ(声のみ)
アキアカネ・ノシメトンボ
マルハナバチ類
観察できた菌類: マスタケスギタケモドキ

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます

参考:9月22日の日光市内の気温と湿度のグラフ
(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

9月22日(日)

 9時、木彫の里に集合。
9月も下旬だというのに残暑が居座り、観察会にはちょっときついかなと空を見上げると、空に浮かぶのは秋の雲、うろこ雲。高積雲とさらに高いところにできる巻積雲の中間ほどの雲だと、野鳥研専属気象予報士が教えてくれた。
その空、今日私たちが向かう雲竜渓谷方面の上空に、ノスリ10羽の飛翔を発見。「日光中のノスリが集まって来ているのでは?上昇気流に乗って舞い上がり、南へ渡ろうとしているのではないか」と顧問の松田さんのお話に、さあ早く行こうと気がはやり、車に分乗して出発。それに今日は、もうひとつお楽しみが待っているのだ。

 9時05分、出発。
9時24分、雲竜渓谷展望台にて観察。
ハヤブサが渓谷対岸の稜線上を飛んでいた。Iさんが4メートル先のヤマハンノキの上に4cmほどのホソクビツユムシを発見。鳥の眼の持ち主だ。樹上で鳴くツユムシの種類があるのだと、また一つ知らないことを教えてもらった。ウメバチソウ、ノコンギク、テンニンソウが咲いている。

 9時45分、林道を歩きながら観察。
道沿いの花々、ダイモンジソウ、ニガナ、シロヨメナ、ナギナタコウジュ、ゲンノショウコ、アケボノソウ、などの秋の花を愛でながら、野鳥研ペースののんびり歩きだ。毎年、同じ時期、同じ場所に咲く花の誠実さ。それに引替え「この花なんでしたっけ?」と毎度聞き返す不誠実、怠け者。見習うべきものは、自然の中にたくさんあるといつも思う。

 ヤマブドウの葉が色付きはじめ、実も最高位の深紫色に衣替えして誘惑する。食いしん坊たちが手を伸ばさないわけがない。熊に少しお裾分けくださいとお願いして頂くと、野趣に富んだ味わいに、もう一つと手が伸びる。
「山葡萄の実に光があたって、種が透けて見えている・・・美しい」ロマンチスト某氏の言葉に、新たな出会いも嬉しいけれど、見慣れた事象のなかに新たな美を発見するのも自然観察の豊かさと、しみじみ思う。

 サルナシの実の食べ頃には、まだ日を待たねばならない。下をみると、マスタケ。味見した方によると、歯応えがよい、醤油をつければマグロの赤身のようだとか。味わってみればよかったと、キノコの同定者を信用しなかったことが悔やまれる。
上空に、ノスリかハチクマか?ハヤブサ?一瞬のシルエットだけで識別するのはとても難しく、天空を飛翔する優雅さに見とれているうちに、山のかなたへ飲み込まれてしまう。

 樹木の間には、20〜30羽のカラ類(シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、エナガなど)の混群が、枝から枝へ飛び交っていた。木の間に見え隠れする鳥の姿を追うのは、とても楽しくて、「エナガ、みぃーつけた!」と鳥に混じって遊んでいるような、いや遊ばれているような、そんな気になる。メボソムシクイのさえずりに、ビンズイもみられた。

 11時15分、昼食の場所へ到着。
遠くの稜線に出たり入ったりするハイタカと大型猛禽の追いかけっこをしばらく眼で追い、カケスの群れが南へ向かって渡っていくのも観察された。

 ここで今日一番のお楽しみ。会長が火を起こし、秋刀魚を焼く準備をして下さっていたのだ。みんな鳥を見るのも忘れて、秋刀魚が焼けるのを縛られたように見守っていた。焼けた途端、縛りが解け、もうただ夢中になって秋刀魚にかぶりつき、山で採ったという生ワサビであえたサラダに舌鼓、けんちん汁をすすり、おにぎりを頬張って、仕上げのデザートはプルーン。ああ、お腹いっぱいと周りの景色に目を移し、今度はゆっくりと幸せをかみしめた。

. .

 12時40分、第8期総会を開催。
日光市が合併し広域になったことで、日光野鳥研究会のフィールドも広げたいと、あそこへもここへも行きたいと夢が広がる。特筆すべきことは会長の提案「年に4回位は、今日のように美味しいものを頂く観察会をしましょう。まずは、春に山野草の天ぷらの会などいかがですか」大賛成!報告や事業計画等も満場一致で了承され、総会が無事終了した。

 1時40分、後片付け。
その頃から渓谷対岸の山の峰が雲で覆われ、ポツリポツリと当たるものもある。やはり「秋の空」だ。この天気、「男心」に例えるべきか「女心」に例えるべきか、皆それぞれ思うところがあるのだろう。
2時30分、木彫の里へ戻り鳥合わせをして、3時に解散となった。

 野鳥研究会にもかかわらず、食べ物の記述が多いのは、人一倍食いしん坊が今回のレポート担当だったとご勘弁ください。ああ、秋ってなんて美味しいのでしょう。

【報告: KJ】
【写真: YR、AM、TK、IT】


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