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12月10日(日)
ふとカレンダーを見て、いまだに、「あ、期末試験の時期だ」と思うことがあります。
それくらい、中学、高校はテストや勉強に追われていたように思います。精神的に激しく迫り来るテストや勉強に対しては否定的であり、嫌いでした。
しかし、成人後、従来からの鳥への興味がさらに強まり、鳥に関する好奇心の幅がさらに広がりました。鳥に関係する難しい古書に手を出してみたり、辞書を片手に外国のウェブサイトで情報を集めてみたり。鳥に関しては不思議と、勉強チックになってもいやではなく、楽しくてしょうがなくなりました。知識を深めていく楽しみというのは不思議なものです。
といいつつ、理数系の世界はやはり苦手です。鳥の世界でも、飛行に関することはやはり苦手のままでした。
そんななかで今回の講演会でした。どんなお話を展開してくださるのか、ある意味愉しみでした。結果を先に述べてしまうと、講演を伺っていて感じたのは、古書を紐解くのと同じように、鳥をいろいろな視点で見る楽しさに、新たな一面を感じさせてくれたこと。田中さんは、振る舞いなどで気にさせることが多く、日々、ついつい、年の差を考えもせずに無礼なツッコミを入れているのですが、今回、田中さんに対する認識もちょっと改まりました(今回のレポートは天罰か)。
田中さんの専門分野からいうと、常々なんとなく感じていたのですが、「田中さんはそういう視点で鳥を見ていたんだ」と、端々で感じる内容でした。これ、新鮮であり、知識欲の面もかなり触発されました。
その内容はというと、ずいぶん前から構成をどうしたらいいかと悩まれていたようで、そのご苦労を充分感じさせるものでした。専門的な理論、ことばを使わなくては説明がつかないのですが、それをなんとかかわしながら説明できないか、という工夫や言葉遣いを感じつつ聞き入りました。
飛行機、そして鳥の飛ぶ仕組みは、よく資料で見る翼の上と下で空気の流れの圧力が異なる、というような既存の表現でなく、田中さんなりのことばで説明してくださいました。ここでは、講演内容を要約することもできないので、割愛させていただきます。このジャンルに関しては、みなさんも興味が強いらしく、質疑応答の時間もいろんな角度からの質問が出ました。
講演会の後は、有志で、野鳥研のお決まりフィールドともなった小倉山遊歩道へと向かいました。ここは、会の歩みとともにいろいろな鳥との出会いが楽しめた場所のように思います。あいかわらずの野鳥研ペースともいえる、独特のスローペースで進みます。私はというと、あの時は二日酔いのまま、あそこでミヤマホオジロを見たなあ、など、1人、各所各場面に思いふけっていました。
この日は、時間、時期が芳しくなかったのか、鳥との出会いは少なかったように思いますが、前日からうって代わった好天のなか、日光連山のすばらしい眺めが楽しみました。ちなみに、今年の日光の冬鳥の傾向はというと、初期、山地でアトリ、マヒワなどがそこそこ観察できて「いい予感」をしていたのですが、数週間後、同じ場所を訪れると早々に姿を消していました。木々の実りが悪く、鳥たちも餌を求めて移動を続けたのでしょうか。この日の小倉山もそんな印象です。
このコースではお決まりの、「ゴマダラチョウの幼虫見つけ」も楽しめました。さすが「永遠の蝶少年」Iさんは次々と見つけ出します。同じところを探しているのに、私はほとんど見つけられませんでした。これも経験、知識に裏づけされたことなのでしょう。自分にない、自然の感じ方というのを改めて感じました。
こんなふうに、今年も例年どおり、野鳥研の行事は幕を閉じました。今年もいろんな楽しみを提供いただきました。来年も、野鳥研らしい自然の楽しみ方、感じ方が深められますように。
「航空機と鳥−工学的視点から」<講演内容の概要>
●鳥をもっと面白く見たい
・航空機の研究は鳥の飛行の観察によりはじまった
・航空機と鳥 形状比較 他
●飛行機はどうやって飛んでいるか、そうすると鳥はどんな工夫をしているか
・飛行の原理
・揚力とはなにか メカニズム
・2乗3乗の法則
面積は寸法の2乗、体積は寸法の3乗。大きくなると翼面荷重が大きくなる。
・高揚力装置と、猛禽の翼端
・失速
失速時の空気の流れの剥離防止の工夫と、小翼羽
・揚力とモーメント
航空機の翼の構造と、鳥の羽のねじれ
・滑空性能と抵抗
鳥の羽をもとに開発された航空機のウイングレット
・層流境界層と乱流境界層
・抵抗を減らす
・推力
プロペラと鳥の翼
羽ばたき回数と翼長
・操縦性と飛行経路の制御
●鳥の飛行機に対する影響
・危険なもの、避けるしかない
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【報告: TA】
【写真: YR、IT】
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