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5月21日(日)
前回(昨年2月)に続いて、渡良瀬遊水池の観察会は今回が2度目です。冬の水鳥や猛禽類などに替わって晩春の夏鳥の繁殖期の今は、日本有数のこの湿原は緑に一変していました。前日まで梅雨入りのような雨の毎日は嘘のようで、日光野鳥観察会の当日は例によって快晴になりました。
地元主催のいくつかの観察会と重なり、行楽にやってきた家族も多く、駐車場は既に満杯で、この時刻はやたらに人ばかりが目に付く感じでした。
観察会は北エントランス近くの駐車場から始まりました。到着早々の松田顧問は既にオオヨシキリ、コヨシキリ、ヒバリ、ウグイスを確認というお話でした。この周辺でやたらに聞こえるのはオオヨシキリの大声の合唱。Yさんのご案内の通りでした。
トイレ休憩の後、谷中湖の中央に至る道をたどって両側の樹木やヨシ原と湖を観察開始。参加者18名にフィールドスコープ7台という贅沢です(Mさんは2台。Oさん、Nさん他)。
ヨシ原の中、枯れたヨシの茎に止まるオオヨシキリをスコープで、アップで拝見。強い足で体をしっかり支えて喉を震わせて縄張り宣言と求愛の歌を大声でギョギョシギョギョシ、ケケシケケシと歌っているのに先ず感動しました。遥か東南アジアから繁殖のため日本に渡ってきた元気者ばかりでしょう。オオヨシキリは一夫多妻だと松田さんの説明がありました。
コヨシキリはここでは姿が見えず、ジョッピリリの細い声のみでした。ノバラが花をつけ、ヤナギの綿毛が飛んで(Iさんによるとバッコヤナギだそうです)、カッコウの声が聞こえました。Sさんがアゲハチョウを発見。
湖の方では小島の縁にバンが見え隠れし、またカルガモが着水するのを見ました。
ここから道を少し戻るようにして、ヨシ原を森の方に入り旧谷中村に向かいました。Mさんがホオジロを発見。ヨシ原のオオヨシキリの巣を狙って托卵のためか、カッコウが低くひらひらと飛んでいました。
風の中を夥しいヤナギの綿毛が舞っています。そのいくつが発芽し成長するのか。そのようにして長い年月には植生が変り、この湿原の風景も変化していくでしょう。
この広大な草原では他の観察会のグループをたまに見かけても気にならなくなりました。
洪水対策のために旧谷中村がなくなってから今年で100年目だそうです。史跡保存ゾーンの延命院跡と小高い丘にある雷電神社跡に到着。広い視界の草原の中に林が点在して、遠くの上空にトビが飛んで、カラスがそれを追いかけていたそうですが見えません。
雷電神社跡のクヌギの大樹の下で、皆で昼食をとることになった。毎度のことながらSさんから沢山おかずの差し入れがありました(ご馳走様でした)。
樹上に誰かがガラスの大きな巣を発見。全く動かない尾のようなものがハシボソガラスの幼鳥であることが判明。
昼食後にゴイサギの幼鳥、ヨシゴイを確認。鳴かずに空中を上下しているヒバリを見ました。
調節池に陽光を浴びて光ったヒドリガモと羽を広げたカワウが休んでいます。
途中から第5ゲートに向けて二手に分かれて移動しました。途中タチスミレ(絶滅危惧氓a類)を探してヨシ原の道なき道を行くIさんのグループともう一つ松田さん達のグループに分かれました。私はタチスミレグループに参加。背丈を越えるヨシ原を掻き分けて進むと草地が開け、潅木の先端に止まるコヨシキリの声と愛らしい姿がスコープで堪能できました。再びヨシの茂る中、水溜りを避けながらようやく目的地にたどり着きましたが、残念ながらタチスミレは見つからなかったようです。
第5ゲート付近に予め移動されていた車に分乗して、ここから渡良瀬川本流の橋を渡り、鷹見台の展望台に向かいました。展望台からは雄大な第2調節池が望まれます。Iさんが単独で第2調節池のヨシ原に探索に出かけました。我々はこの場所で猛禽類などを探しました。
風吹き渡る陽光の中をサシバが現れ、悠々と鷹見台の頭上を舞っていきました。(ここは昨年冬の観察会ではチュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウ、ミサゴが観察できた場所でした)
5時頃から鷹見台に皆が集り、鳥合わせを行って今日の成果を皆で確認しました。
今日は天候に恵まれ、ヨシ原・草原・樹林・池沼を兼ね備えた日本最大級のこの湿原で珍しい鳥・花・昆虫を追いかけて一日を過ごせたことは幸せでした。
電車組みは板倉東洋大駅まで車で朝夕とも送迎をして頂いて、車組みとここでお別れ。有意義な観察会の一日が終了した。
【報告: Murakami M】
【写真: IT, MM】
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