日光野鳥研究会

第48回 観察会 報告

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日時: 2004年11月14日9:00〜15:30
場所: 日光霧降高原・霧降川周辺、マックラ滝、丁字滝、玉簾滝(遠望)
参加者: 19名

【雲竜渓谷】

確認できた鳥: ヒガラ、コガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、エナガ、カワラヒワ、コゲラ、クロジ、アオジ、ミソサザイ、カワガラス、カケス、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨドリ、トビ、ノスリ、セキレイsp.、ハイタカ(?)、ホオジロ(声)、ウグイス(声)、ウソ(声)
観察できた花: ヤマツツジ、アキノキリンソウ、ノコンギク、ハキダメギク、キンポウゲ属の一種、ダンコウバイ(花芽)
観察できた木の実など: ガマズミ(赤)、サルトリイバラ(赤)、ムラサキシキブ(紫)、マユミ(橙赤)、クサギ(ガク:赤、実:藍)、ツルウメモドキ(黄)、アカネ(黒)、ボタンヅル(羽毛状)、ガガイモ(種子に長い毛)
観察できた昆虫: イカリモンガ(昼飛性のガ、一見チョウのようにみえる)、ウラクロシジミの卵(マンサクに産卵)、メスアカミドリシジミの卵(サクラに産卵)、モンキマメゲンゴロウ(?)
観察できた魚類: イワナ(産卵行動)
観察できた哺乳類: ニホンザル(糞)、ホンドテン(糞)、ニホンジカ(足跡、あごの骨)、アカネズミまたはヒメネズミの巣

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます


参考:11/14の日光市内の気温と湿度のグラフ

(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−


11月14日(日)

 雨が降りだしそうな怪しい天気の元(それでも降らない野鳥研のジンクス)、木彫りの里に19名の会員が集まった。双眼鏡で見る小真名子山、女峰山の頂上付近にはうっすらと霧氷が見える、やや冷え込んだ寒い朝あった。今日の観察場所はAさんのコーディネートによる霧降滝めぐり。日光野鳥研はじめての観察場所である。霧降というと霧降の滝が有名であるが、あえてそこは回らず、マツクラ滝など観光ガイドには出てない人があまり入らない滝をめぐるとのこと。出発前からワクワクする。
 木彫りの里から車で日光霧降カントリークラブ前に移動。丸山、赤薙山、男体山が一望できるスポットだ。別荘地の中を歩きだす。しばらく行くとAさんが別荘の裏道のような小さな歩道を入る。地元の人以外は知らない道だ。地元の自然を自宅の庭同様に知り尽くしている様に一同唖然。小さな谷を歩き渡り、再び別荘地を歩く。アオジが飛びたつ。ムラサキシキブ低木が数本観察できる場所で怪しい声。聴きなれない声で、カヤクグリかと思われたが特定できずに先を行く。日光霧降有料道路を横断。そこから車進入禁止のゲートのある山道である。

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 両側には落葉樹の森が広がる。しばらく下ると、渓流沿いの道を歩く。鳥影は少なく、草花もほとんど咲いていないが、そこは日光野鳥研、様々なところに目が行く。先ずは木の実。様々な木の実を見つけている。
しばらく行くと、ノスリが木に止まっていると声があった。杉の木のてっぺんにとまっており、皆スコープで見ることができた。尾根を1つ超えると、有料道路の車の音も聞こえなくなり、静かな渓流と森の世界となった。今はすっかり、落葉しているが、新緑や紅葉はさぞかし素晴らしいであろうと思いをはせる。途中カラの混群を観察しながら、最奥部のマツクラの滝に向かう。マツクラ滝の入り口手前の橋で、河を覗き込む人からイワナが泳いでいるという声があがった。長さ30cmを超えると思われるイワナが上流を向いて流れに逆らいながら泳いでいる。見た目とまっているように見える。そのうち、産卵をしているのではないかという別の個体をみつけた。確かに、寄り添って2匹が泳いでいた。立派なおいしそうなイワナであった。豊かな自然の息吹をここでも感じることが出来た。

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 マックラ滝は滝のしぶきを浴びながら間近にみることができた。川の支流の奥部に位置し高さは15Mほどか。可愛らしくもあり豪快でもある滝だ。夏は涼しくてよいだろう。ここで昼食をとる。昼食ではSさんの自作の惣菜がまた絶品であった。いつもありがとうございます。

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マックラ滝

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 昼食後の時間は、日光野鳥研の観察力の凄さがでた。Iさんがマンサクの枝を熱心に観察し、ウラクロシジミの卵を見つけた。1mm程度の白い球形のものだ。ルーペで見ると、表面に細かく凹凸がある。よく、こんなに小さなものを見つけるものだ。Sさんが川の中で鹿のアゴの骨を見つけた。しっかりと歯がついている。参加者の中には羨ましがる声も・・。YS君は渓流の淀みでゲンゴロウの仲間を見つけた。モンキマメゲンゴロウと思われたが、模様がやや異なることから、再度調査が必要かも。ひょっとしたら・・・・・。また、岸辺の木の根元に複数の穴を見つけた。Yさんによるとヒメネズミなどのねずみの巣ではないかとのことであった。野鳥は観察できなかったが、自然観察という点で十分堪能できた。

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 その後、尾根道を登り、玉簾の滝に向かった。尾根道はツツジの低木が数多く見られ、5月中旬はさぞきれいだと思われる。玉すだれの滝は尾根のはるか下方に木々の間から見ることが出来たが、突然視界が開け、全容を見ることが出来た。全容を正面から見れる場所の木々を倒し、人工的に見やすくしたとのことである。考え物である。とはいっても岩肌を流れ落ちる滝は素晴らしかった。

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玉簾の滝

 尾根を下り、丁字の滝に向かう。丁字の滝入り口には戊辰の道の立て札があった。明治維新の戦いで、日光が戦火を免れた事情などが記載されていた。日光は奥が深い。丁字の滝はこじんまりとした滝であるが、マツクラの滝同様、間近で観察できるのがよい。ここにもダイモジソウの葉が見られた。丁字の滝へつながる渓流沿いでもIさんがヤマザクラの木の枝を丹念に調べている。いつの間にか複数の人が手伝って、ついに目的のものを見つけた。今度はメスアカミドリシジミの卵であった。とにかく凄いの一言。その後はガガイモなど種子や木の実を観察しながら、再び別荘地を歩いて帰途に着いた。

丁字の滝

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 鳥影という点では、季節の過渡期もあり、少なかったが、自然観察という点では堪能できた。季節を変えて、特に新緑の季節、紅葉の季節にまた訪れて見たい場所である。幹事さん企画お願いします。

【報告: OY】
【写真: MI、TK、ST、MM、IT、YR、OY】


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