日光野鳥研究会

第41回 観察会 報告

日光野鳥研top


日時: 2004年4月25日 9:00〜14:00
場所: 日光植物園
参加者: 29名

【日光植物園】

確認できた鳥: キセキレイ・オオルリ・ヒヨドリ・コゲラ・エナガ・シジュウカラ・コサメビタキセンダイムシクイ・キビタキ・ヤマガラ・カケス・シメ・ハシブトガラス・カワガラス・ツバメ・カルガモ・ウグイス(声)・ミソサザイ(声)・ヒガラ・オナガ・キジバト
観察できた木、花: マムシグサ・キンポウゲ・カスミザクラ・クサボケ・トウゴクミツバツツジ・ハルトラノオ・イカリソウ・キバナイカリソウ・マルバコンロンソウ・セントウソウ・アズマシャクナゲ・ウスバサイシン・ヒトリシズカ・トキワナズナ・シロヤシオ・ヤマツツジ(蕾)・ハルニレ・フデリンドウ・ネコノメソウ・ショウジョウバカマ・ヤマブキ・ニリンソウ・リュウキンカ・カキドオシ・ミズバショウ・ミツガシワ・ヤマブキソウ・ムラサキケマン・アオキ・タチツボスミレ・モミジイチゴ・ウスバサイシン
観察できた昆虫: ウスバカゲロウ(幼虫)・モンキチョウ・スジグロシロチョウ・コツバメ
観察できた両生類: ヤマアカガエル(卵・幼生)・アズマヒキガエル(卵)・モリアオガエル(声)

【稲荷川下流域】

確認できた鳥: エゾムシクイ(声)・センダイムシクイ(声)・ウグイス(声)・キクイタダキ・ミソサザイ・猛禽sp
観察できた木、花: ハルトラノオ・ヤマエンゴサク・フジスミレ・タチツボスミレ・モミジイチゴ・ミヤマエンレイソウ・ニリンソウ・カジカエデ・イタヤカエデ・トウゴクミツバツツジ・エイザンスミレ・ウスバサイシン・フデリンドウ
観察できた両生類: ハコネサンショウウオ

【木彫りの里】

確認できた鳥: メジロ・ムクドリ・クロツグミ(声)

この色の種名をクリックすると写真がご覧いただけます


参考:4/25の日光市内の気温と湿度のグラフ

(グラフは日光市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−


4月25日(日)

 とうとう2回目のレポートの番がきた。ということはほとんどの皆さん(ご家族)がレポートを担当したことになる。観察会も通算41回を数え、改めて多くの皆さんにサポートされて続けられたんだなぁと実感する。
 さて、今朝も快晴。でも昨日からの強風は朝になっても止まず風の冷たさは3月上旬くらいの雰囲気だ。日光市内から見える男体山も積雪があったようで白く化粧している。昨晩、湯元にお泊まりになったBTさんによると湯元は5cmくらいの積雪があったとか。季節はずれの雪の便りに寒さが倍増する。
 今日の観察会フィールドは日光植物園。ちょうど1年前の雨の観察会以来だ。樹木に囲まれた植物園内は風もさほどではないようだ。植物園入口のアズマシャクナゲが折しも満開でピンク色の華やかな歓迎アーチが出迎えてくれる。このトンネルを通るとわくわくドキドキの春のときめき感がさらに増幅される。辺りの芽吹いたばかりの木々に陽射しが逆光で当たり新緑は背景のまぶしい空よりさらにその輝きを増し、朝の寒さをすっかり忘れていることに気づく。

. .


 全員でのんびりと大谷川沿いにある園内の歩道を歩く。松田さんから「オオルリ!」の一声。一同ざわざわと松田さんの双眼鏡の方向を必死に探す。オオルリは大谷川の対岸に現れたが、ちょこちょこと動き回るためスコープにはなかなか入らず、そしてブッシュの中に入ったり、木の枝に止まったりで、「え、どこどこ?」という声が飛び交う。でも、24の瞳どころではない。56の瞳がオオルリが移動して隠れるのを見逃さず、川より高い位置からオオルリ君の背後からのぞき込むようにして、その美しく輝くルリ色をみんなで堪能できた。いつもは木の高いところに止まったのを下から見るため白いお腹しか見せてくれないオオルリの美しさを改めて目の当たりにして一同ため息。

. .


 歩道沿いには、イカリソウ、ハルトラノオ、キンポウゲなど春の花々が見事に咲き、前方にはトウゴクミツバツツジやシロヤシオのモザイク、そしてあと数日で開花しそうなヤマツツジの蕾。
 YS君率いる両生類班は池や流れの中に、樹木班は木の上の方を、鳥班は木の中ほどを、蝶班は飛行物体を、植物班は地面を、お子さま班は走り回り、それぞれが思い思いの興味の方向を楽しんでいる。でもなんとなく全体が少しずつ移動しながら一緒に行動している。ある時は両生類班だった人が植物班や鳥班に、蝶班の人が樹木班にと、興味の方向がごちゃごちゃに交錯していて、目がもっとたくさん欲しいという顔をしている人ばかりだ。そしていろいろな味を一粒で味わえる、まさにこれが日光野鳥研の王道なのである。
 つい話が脱線してしまった。

. .

 そんなわけで、春の歩道をゆっくりと移動し、ミズバショウ池に向かう。ハルニレが新緑のような黄緑色の花をつけているを見ながら到着したミズバショウ池のミズバショウはすっかり花が終わり大きな葉が伸長を始めている。このミズバショウの花が盛りはさぞ美しいだろうと誰もが思うが、それは4月上旬頃のはず。日光植物園は毎年4月15日開園なので、その美しい景色は、関係者以外は見たことのない禁断の景色なのである。かつてその時期にこっそり忍び込んだ地元の子供(今はおじさん・おばさん)たちの話でしか想像できないのである。池ではカエルが鳴き、ヤマアカガエルなどのオタマジャクシが見られる。Oさんはモリアオガエルの声も聞いたという。リュウキンカやミツガシワが咲き、ヤマブキソウの花が美しい。

. .


 その後田母沢にかかる太鼓橋に着いたところで、来るべき観察会第二章の準備のため、私を含めた事務局3名と有志1名は植物園をあとにした。残った方々はその後さらにゆっくりと春の陽射しを浴びながら楽しい散策をしたに違いない。「オオルリ飛びまくり」という後のウワサもきっとこの後の散策で楽しめたのだろう。

. .

 そして、第二章は場所を稲荷川下流域に移して始まった。
 いつもは会長お手製の温かいものを何気なくいただいていたのだが、今回は会長欠席。いままで会長の腕に甘えていた事務局も自立しなくてはならない。ここは大鍋料理にチャレンジするぞ、ということで、昨日買ってきたばかりの大鍋を相手に4人でけんちんづくりが始まった。でも30人分のけんちんのボリュームがどうもピンとこない。Sさんがあらかじめ用意してくれた材料があったおかげで、どうにかこうにか完成した。ちょうどその頃、お腹をすかせた皆さんが帰ってきた。
 去年のこの時期の観察会でSさん差し入れの竹の子を丸焼きにしていただいた味が忘れられず、一部の人と「今年もまた食べられるかな」とひそひそ話をしていたら、その期待どおり竹の子の差し入れをいただき、竹の子は真っ赤になった火の中にそのまま豪快に放り込まれ、野趣溢れる味でゆっくりと昼食を楽しんだ。

 食後、松田さんから「サンショウウオ探検オプショナルツアー」の声がかかり、けんちんお代わりで満腹のため動けなくなった一部の方を除き、ほとんどの人が上流を目指して歩き始めた。去年YS君が解明したハコネサンショウウオが生息する沢があるのだ。
 ハルトラノオ、ウスバサイシン、ヤマエンゴサクの咲く沢沿いはまさに早春の日光そのもので、水がちょろちょろと流れる沢には去年と同じくハコネサンショウウオの幼生がいた。子供たちがそれを夢中になって手づかみで捕ってくれたおかげで、じっくりと観察できた。

 オオルリやクロツグミなどの夏鳥が囀りはじめ、多くの花が一斉に咲き始める春の日光は躍動感に溢れ、どこを見ても美しく、日光に住んでいても毎年のことながらワクワクさせられる時期だ。そんなエッセンスが凝縮されたような一日となった。

<参考>日光植物園

 「日光植物園」の通称で知られているこの植物園は、正式には「東京大学大学院理学系研究科附属植物園日光分園」という。明治35(1902)年に東照宮-とうしょうぐう-付近に開設されたが、その後、明治44(1911)年、現在の場所に移転した。植物学の研究、教育のため、東京大学が設けた教育実習施設である。(中略)この植物園ではおもに高山植物や山地性の植 物について研究がおこなわれている。植物園の現在の面積は10万4490平方メートルで、自生するものも含めて約2200種類の植物が栽培されている。(観光協会HPより)

住所:栃木県日光市花石町1842
連絡先:0288-54-0206 
交通:東武日光線東武日光駅より東武バス中禅寺行・湯元行・清滝行15分、蓮華石より徒歩3分
休業日: 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、午前9時から午後4時30分(入園は午後4時まで)
入場料:330円、こども110円(小学生)、(団体料金あり要問合せ)

(参考ホームページ)
日光観光協会HP「日光植物園」
東京大学大学院理学系研究科附属植物園HP「国立大学法人東京大学大学院理学系研究科附属植物園日光分園」※開花情報あり
イサイズじゃらん全国観光スポットガイド「日光植物園」
Shin's Garden(個人ページ)「日光植物園の花々」

【報告: IT】
【写真: TK、MM、IT】


日光野鳥研top