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1月22日(日)
奥日光は、日光の下に住んでいる者にとっても別天地で、その天気は計り知れません。きっとまだ寒いだろう、吹雪くかもしれないと防寒対策ばかり練っていました。ところが、当日は誰も予想しないほどの暖かな日になりました。
木彫りの里の駐車場に集合ののち、車数台に分乗して奥日光へ向かいました。
高山の手前で前の車が路肩に停車して、さっそく鳥発見かと双眼鏡を持って外へ出ますと、湖畔を背景に遠くの高い木の梢に、豆粒ほどのオジロワシがいました。動く車窓からあの鳥を発見できるなんて、神業です。
三本松の駐車場にて、本日観察会担当のAさんよりご挨拶と諸注意があり、スノーシューをレンタルして、湯滝へ向かいました。
湯滝の駐車場でスノーシューに履き替えている最中、反対斜面には猿の群。ビデオやカメラを向けて大騒ぎの観光客を尻目に、猿はただの隣人と、すっかり日光人のような日光野鳥研の皆さんでした。Oさんの蔓と藁で作られた和かんじきは、年季が入った飴色に輝いていて羨望の的でした。Aさんから今日のコース説明の後、顧問の松田氏よりご挨拶を賜りました「キバシリ、カワガラス、ゴジュウカラのさえずり、キツツキのドラミングは、早い春の訪れを告げています」春の訪れの歌を聴けるかしらと期待が高まりました。
湯滝を仰ぎ見た後、湯川に沿って歩き始めました。川の流れは、さすがに暦の上で「雨水」を過ぎた事を感じます。川の岸辺の雪や氷が少しずつ溶けだし、川の流れに混ざりあいます。これらの水の流れが大地を潤し生命を育てあげ、海までも豊かにするのかと思うと本当に嬉しくなります。森全体に、これから芽生えようとするふくらみを感じました。それでも厳しかった冬の痕跡が、降り積もった雪の深さや、葉を全て垂らしてじっと寒さを耐えているシャクナゲの姿など、随所に見うけられました。
ミズナラの原生林の中を、雪を踏みしめながら歩きました。雪解けの後はミヤコザサが生い茂り、普段は踏み込めないところです。
W家のご令嬢が「どうして、木の周りだけ雪が溶けているの?」と難問を投げかけました。う〜ん。分かっているようで分からない。「木は体温が高いから?」「木の周りは風が巻き込んで雪が積もらないから?」「幹の反射熱で周りの雪が溶けるから?」など、大人たちの頭を散々悩ませました。後でAさんに教えて頂きました。春には「根開き」という木の周囲が溶ける現象があるそうです。日光を受けて暖まった幹の放熱と日射を受けた幹からの反射熱によるものだそうです。きっかけは風によって木の周りにくぼみができ、いくつかの要因が重なってこうなったのでしょうとのことでした。いずれも正解でした。
湯川には、カワガラス、マガモの姿を見る事が出来ました。カワガラスは綺麗なさえずりを聴かせてくれました。これが春の訪れの歌ですね。キバシリの俊敏な動きを目で追い、ゴジュウカラ、エナガは間近に飛び交い、さえずり交わしていました。エナガは早ければ、もう巣作りを始めている時期なのだそうです。キツツキのドラミングは聴けませんでしたが、コゲラを近くで見ることができました。
雪の上に何かの獣毛の塊(生皮付き)を発見!これはなんだと様々な意見が飛び交いました。「シカ?」「シカの毛は折れるんだよ」とW家ご令嬢によって却下されました。タヌキ?テン?イタチ?円形脱毛症のサル?誰かの襟巻きの一部?珍答の数々。まともなご見解をとY氏にお伺いしました。「はっきりとは言えませんが、たぶんキツネでしょう。」と周りの木の繁りぐあいなどを見ながら、その時何が起こったのかを想像してお話して下さいました。自然が創り出す物語は、なんておもしろいのでしょう。
湯滝の駐車場に戻ったのち光徳牧場の駐車場に移動して、お待ちかねのお昼です。足を踏み鳴らし転げまわって雪を踏み固め、ランチの場所を確保しました。会長特製のディアシチュー(親愛なるシチューさん?)を頂きました。とても美味しかったです。会長ありがとうございました。マスの燻製、茨城県特産の乾し芋、ドライアンズなども一巡し嬉しいお昼でした。
昼食後、三本松にスノーシューを返却し、戦場が原の展望台にて観測会でした。雪の湿原に点々と続く足跡は……ニンゲン。戦場ヶ原の湿原は積雪があっても立ち入り禁止ですので、気をつけましょう。
いろは坂を下り、木彫りの里駐車場にて鳥合わせを行いました。皆さんは、こんなに数多くの鳥を見ていたのかと、いつものことながら驚きます。バードウォッチング・ビギナーの私は、なかなか鳥が発見できません。そんな私のレポートですので、鳥のことは余り報告できず、皆さんごめんなさい。奥日光の本格的な春の訪れはまだまだ先ですが「木花之開耶姫」が下見にきたような暖かな春を感じた、楽しい一日を過ごす事ができました。ありがとうございました。
【報告: KJ】
【写真: WR、OY、YR】
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