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4月29日(日)
今年は暦の並びが最悪だといわれるゴールデンウィークの、旗日としては初日にあたる「みどりの日」。天気予報は幸いにも「日中は晴れ」ということで、さすがは日光野鳥研の観察会。しかも今回は、日光野鳥研始まって以来初めての他団体との合同観察会で、しかも県外まで出かけるとあって、お招きいただいた「龍ヶ崎バードウォッチングクラブ」の方々にも、我が「晴れグループ」(?)ぶりを自慢したいような最高の日和である。
日光・宇都宮から車で向かう私たちは、余裕を持って朝6時に日光を出発し、約3時間の行程。途中、茨城県に入って山がほとんど見えなくなり広大な水田が広がると「日光とは全然違う景観だね」、つくばの研究学園都市を通るときには「Wさんちはこの辺だね」などと話しながら、Aさんの高性能な携帯GPSのおかげもあって、順調に集合場所の龍ヶ崎市役所に到着することができた。
龍ヶ崎市役所で、栃木以外からの日光野鳥研のメンバーと、龍ヶ崎バードウォッチングクラブの皆さんと無事合流し、市役所のトイレをお借りした後、すぐに龍ヶ崎飛行場に移動した。セスナやヘリコプターだけの小さな飛行場に着き、駐車場で開会式。龍ヶ崎バードウォッチングクラブの海老原会長さん、日光野鳥研の松田さん、両会の会員で今回の観察会を執り持って下さったAriさんのそれぞれからご挨拶があった。松田さんのお話では、日光野鳥研を作ろうと思い立ったのは、龍ヶ崎でのバードウォッチングクラブの活動を見て「こういう楽しみ方もあるんだ」と感激されたからだとのこと。そんな団体同士が一緒に鳥を楽しむ企画って、なんだかすごくいいなあと、ほのぼのとした気持ちになった。龍ヶ崎のみなさんは、「日光ではシギチや葦原の鳥はなかなか見られないと思いますので、今日は存分に楽しんでいって下さい。」とおっしゃり、ベストシーズンにフルコースを組んで下さったらしい。昼食場所も予約しておいて下さったのに、「今日は天気がいいので浮島でコジュリンを眺めながらお弁当にしましょう」と、急遽変更して下さったとのこと。ありがたい気配りに感謝しきりだ。
まずは飛行場から出て、周辺を歩いて探鳥した。水を張ったばかりの水田では、田植えをしている人たちの姿も多い。本当に天気が良く、水面に映る青空と、既に立派に伸びた麦畑の緑が目に眩しいくらいだ。ヒバリの声が響く畦道にはジシバリやカラスノエンドウなどの花も鮮やかで、ついのんびりした気分になってしまう。確かに日光ではこういう景色はまずみられないが、こちらではこれが典型的なあたりまえの風景なんだろう。
そんな中で、龍ヶ崎の方々は次々と鳥を見つけて素早く望遠鏡に入れて下さった。コチドリやメダイチドリは意外と畦道ではじっとしていて、じっくりと観察することができた。ムナグロやキョウジョシギは見え始めるとかなりたくさんの個体がいることがわかってくる。どちらも様々な換羽段階のものがいて、どれを見ても個性的で飽きない。このあたりには猛禽も多く、シギやチドリは上空から見ると完全な保護色で見つからないようになっていると教わったが、なるほどそのとおりだと納得させられる。こういう鳥は教えてもらわないと自分ではとても見つけられそうにない。それでも、キョウジョシギは横から見るとなかなか鮮やかで、シギらしくないお洒落な姿だ。「キョウジョシギは「京女しぎ」なんですよ」と聞き、これも一同納得。チュウシャクシギやウズラシギが見られることもあるそうだが、今日は見られなかった。松田さんはかなり遠くの木に懸けられていたカラスの巣を見つけて望遠鏡に入れてくれた。これこそ常人には見つけられるはずもない。松田さん曰く「なんか見つけちゃうんだよね。この環境だと、たぶんボソ(ハシボソガラス)だね。」
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キョウジョシギ(海老原さん・RBWC) |
ムナグロ |
お昼になったので、駐車場に戻ってすぐにまた車に分乗し、第2の目的地の浮島へ。途中、最近チュウシャクシギがいたというところも通っていただき、30分弱で到着した。
いただいた資料によると、浮島は、新利根川が霞ヶ浦に流れ込む河口に残された約60ヘクタールの貴重な低湿草原で、昔はその名の通り島だったのが今は陸続きになり、水資源開発公団が管理している場所だということだ。今の季節はヨシ、カモノハシなどの鮮やかな緑が広がる草原で、周辺には観察舎や駐車場、木道などもよく整備されていた。
「浮島のコジュリンは人に慣れているので、すぐ目の前で見られますよ。」と言われていたとおり、大勢でお弁当を広げている目の前で、双眼鏡もいらないくらい間近で、真っ黒な頭のコジュリンが大きな口を開けて囀ってくれた。こんなに人を恐れない小鳥の姿というのはめったに見られるものではない。戦場ヶ原のノビタキなどとはずいぶんと違うものだと思った。
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コジュリン(尾崎さん・RBWC) |
お弁当の時には、龍ヶ崎の方々から、セリのおひたし、タケノコの煮物、豆腐、地ビールなど地元の季節の味をたくさん振る舞っていただき、すっかりご馳走になってしまった。さらには、会員の方の手作りのフクロウのブローチまでお土産にいただいた。
昼食後は、海老原会長さんから、コジュリンやオオセッカのこれまでの調査や、浮島の歴史文化についてのお話をお聴きし、その後、観察広場まで、木道を歩いてじっくりと草原の鳥を堪能した。望遠鏡で見ると、コジュリンは口の中まで本当に真っ黒だった。風がかなり強くなってきたので、鳥たちも風を避けるような位置で健気に囀っていた。日本でもここを含め数カ所でしか見られないオオセッカは、それらしい声が聞こえた程度で姿を確認することはできなかったが、セッカやオオヨシキリの囀りも多く、水辺ではアオサギやオオバンなどの姿も楽しむことができた。
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(岸さん・RBWC) |
(岸さん・RBWC) |
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コジュリン(岸さん・RBWC) |
コジュリン(岸さん・RBWC) |
最後は観察広場で記念撮影。好天に恵まれ、湿地の鳥たちを堪能した贅沢な観察会が終了した。
【報告: OM】
【写真: IT、海老原(RBWC)、尾崎(RBWC)、岸(RBWC)】
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