日光野鳥研究会

第21回観察会 報告

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日時: 2002年10月27日
場所: 表日光モッコ平
参加者: 29名

確認できた鳥: ノスリ・カケス・ホオジロ・ヤマドリ・アカゲラ・中型タカ類・コガラ・シジュウカラ・ヒガラ・エナガ・ゴジュウカラ・マヒワ・ミソサザイ・キジバト・ツグミ・アカハラ
確認できた花: シロヨメナ・ツルリンドウ
確認できた主な紅葉: ウリハダカエデ・オオモミジ・ハウチワカエデ・オオイタヤメイゲツ・カマツカ・ブナ・シロヤシオ
観察できた木の実: ナツハゼ・クサギ・アズキナシ・サワフタギ・ブナ・マユミ
観察できた昆虫: ルリタテハ・ヒオドシチョウ・キチョウ、クロスズメバチ・キイロスズメバチ
観察できた菌類: シイタケ・ヒラタケ・クリタケ・チャナメツムタケ・ツキヨタケ
観察できたほ乳類の糞: ツキノワグマ・ホンドギツネ・ニホンジカ


参考:10/27の日光市内の気温と湿度のグラフ

(グラフは市内のもので観察地の気温・湿度とは大きく違います)


−写真をクリックすると別ウィンドーに写真が拡大されます−

10月27日(日)

  昨日までの雨空とは打って変わった秋空のもと、顔合わせ兼ミーティングを済ませ9時過ぎに日光木彫りの里工芸センター駐車場より本日の目的地である「慈観の滝」上流方面に向かい7台の車に分乗して出発しました。
「裏見の滝」駐車場を過ぎ林道ゲートを越え、悪路をぼこんぼこんと上下左右に揺すられながら錦秋の山道を進み、途中「慈観の滝」で一旦停車。滝見学となりましたが、その周囲の景色の見事なこと。どこまでも抜ける青空、風に走る雲、朱、茶、黄、オレンジと様々な色に織り上げられた山肌、鋭く細い白線のアクセントを付ける白樺の木々、奔流となって遙か下に落ち、流れ出る渓流。遠方上空にはきらきらと小さな硝子の小片のように舞い、光る木の葉の群れ。只々自然に感謝、感謝の光景でした。

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 散策を終え、さらに険しい山道に入り、途中車高の高い車だけでの往復輸送を行い29名の観察者が、予定した山中のスタート地点から歩き出したときには、おそらく野鳥よりはこの日光の小春日和の秋日を充分に満喫しようとの思いがそれぞれ強くなっていたのではと思います。
 歩き始めはまだ車の轍の残る山道でしたが、すぐに熊笹に覆われた鹿道に様相は変わり、本格的な紅葉には未だ少し早い唐松の林を抜け、沢筋を横切り、熊笹をガサガサと音を立てて進み、まさに道無き道を奥へ奥へと分け入りました。元々山道に不慣れな大半の参加者は、あれあれ簡単な山道散策の筈なのにと思いながらも、ただただ前をゆく人についていくだけで精一杯という状況に、さわやかな風は心地よいのですが、「だから山男の言葉は信じられない」という思いと汗が同時にじんわりと吹き出てきました。

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 それでも途中の、色鮮やかな木々の葉との出会いに何度ため息と感嘆の声の洩れたことか。沢筋を上から眺めた時の、重なり合う様々に色づいた枝々越しに見える谷底にごつごつと隆起する黒い岩塊とびっしりと敷き詰められた色づいた落ち葉が見せる静寂の渓谷美、その渓谷に下りさらに横切って登る際の、複雑に錯綜した細く黒い曲線となった梢越しの青空と日光を照り返して輝く紅葉の揺らめき。そして登り切ると向こうに突然現れる白樺の林。見つけることの出来る野鳥、花々の姿はまれでしたが、現れては過ぎる様々な秋の眺めは観察者を魅了してくれました。
 途中の尾根筋でのちょっと疲れた後での昼食。いつものように、参加者の方々から色々と自前の物を分けていただき、この次からは自分の昼食を持ってくるのは止めてしまおうかと思うほど満腹に。さらには、椎茸、クリタケ等の食用キノコ発見に、参加者の野鳥観察の視線はいつしか晴れ渡った青空ではなく、何故か自然に地表に向かってしまうというおまけも発生。日本の四季を代表する典雅な秋景色の魅力も、「野生の椎茸が採集できる!」との情報には勝てず、たちまち目の色が変わる己が身のあさましさを反省しつつ、それでもやはり眼差しは地表の根方、切り株をウロウロしてしまうのでした。(素人の予想を裏切りシイタケがはるか高い枝に生えていたりして驚いたりしましたが)


 今回の観察会の紹介にあった、道無き道を歩くけれど、平らなコースだからという説明ははっきり言って「嘘」だと思いましたが、この疲れ、つらさに十二分に応えて余りあるコース設定をして下さった幹事の方達にただただ感謝の一日でした。


 鳥、花等の本来の観察目的物との出逢いが少ない観察会ではありましたが、それらの生き物、植物を育てる大いなる自然の豊かさ、美しさを存分に味わえた観察会でした。
 山歩きを終え、木彫りの里工芸センターに戻り、鳥合わせ、花合わせを行い、日光の秋、日本の秋を楽しんだ観察会が終わりました。
 21回野鳥観察会の結果は上記の通りです。(残念ながら報告者は一羽も鳥を目撃できませんでした。でもキノコはしっかり採取しましたけど。)

【報告: KY】
【写真: MM、IT】


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