
深い霧が立ちこめた早朝4時半、取手を出発した。
道中、雲行きも怪しく、天候が気に掛かったが、それも日光までだった。集合場所の稲荷川下流域に着く頃にはピーカンになり、その日の期待に胸が膨らむ。

期待たがわず、出席者が集まり出発の準備をしていた8時半頃、早くも北東上空にクマタカが出現した。前回よりも低く、近く、ゆったり旋回し、更に順光だったために全員がたっぷりと観察できた「納得のクマタカ」であった。
こりゃ幸先が良い、次は本命だと、人も車も跳ねながら目的地の雲竜渓谷へ向かった。

雲竜渓谷の展望台では、西側の山の斜面にコガラ、ヒガラ、エナガ、ゴジュウカラが可愛い姿を現し、我々を楽しませてくれる。
「真打」「真打」とお題目を唱えながら滝の見える奥まで踏み分けて行ったが、残念ながら「真打」は登場しなかった。しかし、我々だけでは滅多に入れない渓谷は、そこに生きている様々な生物に接する機会を提供してくれた。「9月では初認です」という松田さんの解説が付いたメボソムシクイの囀りが、渓谷の奥に行くにしたがい、あちこちに聞こえたのは驚きであった。踏み分けて行った先では鹿の声ならず「フン」にまで出会えた。

鳥以外にも、渡り蝶のアサギマダラ、花の大きさが平地とは違うヤマトリカブト、高山植物のビランジ等、日ごろお目に掛かれない蝶や花が観察でき、いつもながらカメラマンも大忙しであった。
さて、集合場所に戻り会長が用意してくれた昼のバーバキューにも感激だった。
初体験の鹿の肉の美味しさ、また「或る会員」から提供されたお手製ビールの乙な味は日光野鳥研究会ならではの楽しみではないだろうか。
もちろん、「鳥、昆虫、花合わせ」と「総会」もなごやかに行われ、散会となった。
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